【勘定科目と経理マン】 [会計・経理・税務]
勘定科目は会計のルールに従えばおのずと決まってくるものですから、決算書を作るにあたってはそれほど問題は生じないと思います。
しかしながら、経費項目、一般管理費や製造原価の内訳科目は多岐にわたり会社ごとにカラーがあって分類もいろいろな考え方がありますよね。
私は実はこの内訳科目にはほとんどこだわりがありません。
直感的に「明らかにこれって変だよね」っていうことがなければ、正直なところ「好きにして」って気持ちでいます。
税務の観点から見て、区分けしとかないと後で集計の手間が係るもの、例えば、「交際費」や「少額接待飲食費」、「一括償却資産」などがきちんと分類されていること。
管理会計上、重要な項目で数値の推移をフォローした方が良いものが分類されていること、同じ内容の取引は、いつも同様の科目で処理されていること。
これらが守られていれば、重要度が低い、しかも金額も些少なものは、「好きにして」なんです。
でも、この「科目の分類」って、私の中では結構大きな要素です。
永遠の課題とも言えます。
会計事務所時代は顧問先の経理マンの方々から、経理部時代では営業所の経理マンから、問い合わせの上位のランキングに入ってくるのが、この「科目を何にしたらいいですか?」っていう質問です。
私は、この質問が一番嫌い です。
正直なところ…
面倒なんです。
会計事務所時代はよく、この質問を受けると、
なんてやっていましたが、何となく
「え?そんなんでいいの?いつもうるさく科目の訂正させるくせに…」
って雰囲気が伝わってきます。
営業所の経理マンとやりとりするときは会社全体の統一感も考えますので、あんまりバラバラなこと言っちゃうわけにもいかないのでルールブックを作りましたが、これも結局キリがないんですよね。
具体例を書くと載ってないことは何でも質問がくるし、考え方を書くとどれにも当てはまらないレアケースがポロポロ出てきたり…
どうしても主観的要素を完全に排除できないので感受性がそれぞれ違う人たちを同じベクトルに統一するのって難しいんですよね。
幸い、今の職場では取引が比較的固定的でレアケースがあまり発生しないことや経理従事者が少なく意思統一に手間がかからないので、面倒に思うこともありませんが…
よく経理のことを「ルールが明確ではっきりしている」と表現する人がいますが私はそうは思いません。
日常的には今回ご紹介した「科目の選定」みたいなことから法律の解釈まで、あいまいな部分は沢山あって、結局は「どう判断するか?」を問われる局面は沢山あります。
もし日常業務はすべてが「かっちり」していると感じている方は、「それは属している会社や組織がかっちり決めているだけのこと」だったりしますので検証みると仕事の幅が広がるかもしれません。
先人とか今いる組織の上位の方が「そう決めているにすぎない」ことも沢山あると思います。
そして先人の決めてきたルールが法律や一般的な会計慣行、当社の業績判断ルール、効率性などに照らして、本当にベストなチョイスとなっているかを考えてみるのも経理マンの仕事の一つだと思います。
ただ、気を付けたいのが…
転職したばかりの会社に上記のことを実践して、いきなり上司や先輩に意見を具申するのは控えた方が良いと思います。
相手の気持ちを考えればわかりますよね?
ある程度の期間、自分の実績を積みポジションをつかんでから具申した方がうまくいくこともありますから…
しかしながら、経費項目、一般管理費や製造原価の内訳科目は多岐にわたり会社ごとにカラーがあって分類もいろいろな考え方がありますよね。
私は実はこの内訳科目にはほとんどこだわりがありません。
直感的に「明らかにこれって変だよね」っていうことがなければ、正直なところ「好きにして」って気持ちでいます。
税務の観点から見て、区分けしとかないと後で集計の手間が係るもの、例えば、「交際費」や「少額接待飲食費」、「一括償却資産」などがきちんと分類されていること。
管理会計上、重要な項目で数値の推移をフォローした方が良いものが分類されていること、同じ内容の取引は、いつも同様の科目で処理されていること。
これらが守られていれば、重要度が低い、しかも金額も些少なものは、「好きにして」なんです。
でも、この「科目の分類」って、私の中では結構大きな要素です。
永遠の課題とも言えます。
会計事務所時代は顧問先の経理マンの方々から、経理部時代では営業所の経理マンから、問い合わせの上位のランキングに入ってくるのが、この「科目を何にしたらいいですか?」っていう質問です。
私は、この質問が一番嫌い です。
正直なところ…
面倒なんです。
会計事務所時代はよく、この質問を受けると、
私 「何だと思います?」
経 「交通費だと思います。」
私 「じゃあ、それでお願いします」
経 「交通費だと思います。」
私 「じゃあ、それでお願いします」
なんてやっていましたが、何となく
「え?そんなんでいいの?いつもうるさく科目の訂正させるくせに…」
って雰囲気が伝わってきます。
営業所の経理マンとやりとりするときは会社全体の統一感も考えますので、あんまりバラバラなこと言っちゃうわけにもいかないのでルールブックを作りましたが、これも結局キリがないんですよね。
具体例を書くと載ってないことは何でも質問がくるし、考え方を書くとどれにも当てはまらないレアケースがポロポロ出てきたり…
どうしても主観的要素を完全に排除できないので感受性がそれぞれ違う人たちを同じベクトルに統一するのって難しいんですよね。
幸い、今の職場では取引が比較的固定的でレアケースがあまり発生しないことや経理従事者が少なく意思統一に手間がかからないので、面倒に思うこともありませんが…
よく経理のことを「ルールが明確ではっきりしている」と表現する人がいますが私はそうは思いません。
日常的には今回ご紹介した「科目の選定」みたいなことから法律の解釈まで、あいまいな部分は沢山あって、結局は「どう判断するか?」を問われる局面は沢山あります。
もし日常業務はすべてが「かっちり」していると感じている方は、「それは属している会社や組織がかっちり決めているだけのこと」だったりしますので検証みると仕事の幅が広がるかもしれません。
先人とか今いる組織の上位の方が「そう決めているにすぎない」ことも沢山あると思います。
そして先人の決めてきたルールが法律や一般的な会計慣行、当社の業績判断ルール、効率性などに照らして、本当にベストなチョイスとなっているかを考えてみるのも経理マンの仕事の一つだと思います。
ただ、気を付けたいのが…
転職したばかりの会社に上記のことを実践して、いきなり上司や先輩に意見を具申するのは控えた方が良いと思います。
相手の気持ちを考えればわかりますよね?
ある程度の期間、自分の実績を積みポジションをつかんでから具申した方がうまくいくこともありますから…
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【簿記のち消費税】 [会計・経理・税務]
私は簿記3級を取得しただけで会計事務所に就職しました。
今ほどは雇用環境が悪くなかったので採用してもらえたのかもしれません。
既に30歳になっていたのでラッキーだったかもしれません。
さて、本当に簿記3級の知識しか無かったのでまず面食らったのが試算表でした。
会計ソフトから出力される試算表は通常、貸借対照表、損益計算書に分かれていて、
前残、借方合計、貸方合計、残高の順に並んでますよね。
先輩に、
「試算表と内訳書の残を合わせといて」
なんて言われても、
「…?」
って感じです。
それでも、教われば、なるほどとすぐに意味は理解できましたが、
消費税の処理は難しかったですね。
簿記では消費税はほとんど語られていませんからね…
簡易課税、本則課税、個別対応方式…
覚えることが多かったです。
課税区分、事業区分も間違えること、しばしばでした。
預金利息は非課税、税金の支払いは不課税…
とにかく最初は、パターンを覚えていましたが、
アウェイである顧問先の経理担当者に初めて出くわすネタについて質問されると
なかなか自信を持って答えられず、宿題として持ち帰ってきて調べたりしてました。
経理の仕事が未経験で簿記を勉強された方で、
「実務ではどんな知識があると役立つの?」って疑問に思う方には、
消費税の実務知識を身につけることをお勧めします。
消費税の確定申告書のつくりと、課税の対象、課税区分を覚えて、
税込み経理、税抜き経理で、消費税の精算仕訳が起こせれば基礎は十分だと思います。
特に課税売上割合、個別対応方式による税額控除の仕組みなどを知っておくと
課税区分のバリエーションが増えてもアタフタしません。
今ほどは雇用環境が悪くなかったので採用してもらえたのかもしれません。
既に30歳になっていたのでラッキーだったかもしれません。
さて、本当に簿記3級の知識しか無かったのでまず面食らったのが試算表でした。
会計ソフトから出力される試算表は通常、貸借対照表、損益計算書に分かれていて、
前残、借方合計、貸方合計、残高の順に並んでますよね。
先輩に、
「試算表と内訳書の残を合わせといて」
なんて言われても、
「…?」
って感じです。
それでも、教われば、なるほどとすぐに意味は理解できましたが、
消費税の処理は難しかったですね。
簿記では消費税はほとんど語られていませんからね…
簡易課税、本則課税、個別対応方式…
覚えることが多かったです。
課税区分、事業区分も間違えること、しばしばでした。
預金利息は非課税、税金の支払いは不課税…
とにかく最初は、パターンを覚えていましたが、
アウェイである顧問先の経理担当者に初めて出くわすネタについて質問されると
なかなか自信を持って答えられず、宿題として持ち帰ってきて調べたりしてました。
経理の仕事が未経験で簿記を勉強された方で、
「実務ではどんな知識があると役立つの?」って疑問に思う方には、
消費税の実務知識を身につけることをお勧めします。
消費税の確定申告書のつくりと、課税の対象、課税区分を覚えて、
税込み経理、税抜き経理で、消費税の精算仕訳が起こせれば基礎は十分だと思います。
特に課税売上割合、個別対応方式による税額控除の仕組みなどを知っておくと
課税区分のバリエーションが増えてもアタフタしません。
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【小規模企業の経理マンの方に贈る「会計ソフトって何がいい?」】 [会計・経理・税務]
企業会計を処理するのに会計ソフトは必須です。
新しく組織を立ち上げて検討が必要な方、従来はソフトを利用してこなかったが事業拡大などの理由でソフト導入を検討している方、事情があって現在利用しているソフトの『入れ替え』を検討しなければならない方、それぞれの立場で会計ソフトを検討しなければいけない局面があると思います。
どんな会計ソフトが良いのでしょうか?
会計ソフトはどっちがいいの? 汎用品?専用ソフト?
業態や業績管理手法にもよりますが、年商規模なら50億円、従業員数なら150人程度までなら、
自社専用の基幹システムが無くても経理処理は充分でしょう。
私は、会計ソフトは汎用品が良いと思っています。
カスタマイズされた自社専用会計ソフトの功罪
前職で、自社システムを運営していく労力とコストがもったいないと痛感しました。
確かに自社システムではアウトプットがカスタマイズされていて、それを利用する人にとっては便利でしょうが、コストパフォーマンスが低いと考えます。
また、交通費の精算を始め、各種精算をシステム連動型で、会計システムへデータを流し込むようなパターンも費用対効果を考える必要があると思います。
安く見積もっても5,000万円は下らないこれら基幹系システムは、ランニングコストも含めるととても割に合わない気がします。
億単位のお金がかかることも珍しくありませんが、得られるのはオリジナルの帳票だったり、会計システムへの伝票入力が自動連動になる程度、とうこともあります。
その効果を充分検討する必要があります。
これも経理マンの仕事
帳票作成や自動化を検討している部分だけ仮に人件費1,000万円の人を専任で雇ってやってもらったら、先述の規模の会社ならお釣りがくるでしょう。
「見慣れている」という理由だけで、自社システム特有の帳票を欲しがる経営層を汎用的な帳票で見られるように、
私がおススメする汎用会計ソフト
さて、汎用品の中でどんなソフトがおススメか…
私は、PCAのSaaS版PCA会計をお勧めします。
会計ソフトの基本機能はどこの会社のものも変わらないと思います。
その中で、比較的安価で初期費用もほとんどかからず導入可能です。
複数のアクセス、場合によっては遠隔地でもインターネットの環境さえあれば導入が簡単です。
シンプルで使いやすく、直感的なメニュー操作で、マニュアルなどもあまり必要としません。
また、マスタメンテナンスなども簡単で、部門別管理も階層を何重にも組み合わせでき予算実績管理や過去比較、決算書の作成、勘定科目内訳書、消費税集計や申告書作成、どれもボタン一つでできます。
また、万一を想定してスタンドアロン版のプログラムを無料でサイトからダウンロードできるのでベンダーのシステムダウン、自社のネット環境がダウンなどが起きてもバックアップデータからの復旧で急場をしのげます。
ここまでは、営業マンさながらで良いことばかりを書いてきましたが弱点もあります。
まず、SaaS版はやはりネット経由でLAN経由などと較べると、動作速度が遅いです。
どうしても、キー操作からのタイムラグが気になるところです。
特に、パンチャーに高速入力を要求しているようなボリュームの多い取引の入力では効率の低下があるかもしれません。
また、システム開発会社など個別原価計算をする会社には対応できるタイプがありません。
一応、最近建設業会計版は発売されましたが、ちょっと無理があるようです。
このソフトは、個別原価計算を要さず、多少の操作のタイムラグが許容できる場合にはおススメです。
無料お試しをベンダーのサイトからダウンロードによって可能ですので、是非、スピードを体感してみてはいかがでしょうか?
経理マンに贈る 個人で会計ソフトを利用することのススメ
ちなみに私は家計簿と不動産所得の決算書もPCAの「経理じまん」といいう廉価版ソフトで作成しています。
部門別管理ができないのはちょっと不満ですが、個人で使用するには、充分なできです。
何と言っても「安い!」です。
私も以前は「仕事で会計をやっているので、家に帰ってまで会計ソフトなんて触りたくない!」って、思っていましたが、意外に慣れると楽しいものです。
経理マンの皆様、会計ソフトで家計簿、おススメです。
【会計システムをカスタマイズすること、自社製作すること】
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【続 消費税95%ルールが適用できない!?】 [会計・経理・税務]
前回の記事【消費税95%ルールが適用できない!?】の続きです。
前回は消費税の計算の概要や95%ルールについてお伝えするとともに非課税売上の範囲を拡大した場合の想定される混乱を「馬刺し」を使ってご説明しました。(^_^;)
今回はこの法律の改正を受けて経理担当者が注意することです。
まず当課税期間開始当初から課税売上が5億円以内ということが確実と見込まれている会社なら今回のルール改正の影響を受けませんので、以下の内容は基本関係なくなります。
もし、5億円は間違いなく超えてしまう、または「微妙」という会社は下記の内容を事前に検討する必要があるでしょう。
預金利子程度の非課税売上しかない大多数の会社は、経理処理の手間などを考慮して一括比例配分方式を採用するので経理処理は従来と変更ありません。
ただし、次のような理由により非課税売上がそこそこある場合には、個別対応方式と一括比例配分方式のいずれでも計算可能なようにして数値を比較して有利不利判定を行う必要があるかもしれません。
(個別対応方式を検討しなければならない非課税売上の例)
会計ソフトの消費税集計機能を利用すると集計可能なケースがほとんどですが、仕訳入力時に課税仕入れを3種類に分類して課税区分を入力しなければなりません。
税抜経理をしていて部門単位で課税売上・非課税売上が明確に分離されているケースでは仮払消費税を部門別管理して部門ごとの仮払消費税残高を逆算することにより3種類の年間税込合計額を算出することも可能です。
もし課税区分で対応する場合には仕訳入力の税区分の厳密化に対応するため入力者が正しく入力できる体制を対象期間の期首までに整えなければなりません。
詳しい内容については、国税庁タックスアンサーをご参照下さい。
実際の仕訳例が確認するなら ↓
【消費税95%ルールが適用できない場合の仕訳の注意点】
前回は消費税の計算の概要や95%ルールについてお伝えするとともに非課税売上の範囲を拡大した場合の想定される混乱を「馬刺し」を使ってご説明しました。(^_^;)
今回はこの法律の改正を受けて経理担当者が注意することです。
95%ルールが適用できない会社
当期の課税売上高が5億円を超える会社適用開始時期
平成24年4月1日以後開始する課税期間- 3月決算法人なら平成24年4月1日~平成25年3月31日
- 9月決算法人なら平成24年10月1日~平成25年9月30日
- 個人事業主なら平成25年1月1日~平成25年12月31日
まず当課税期間開始当初から課税売上が5億円以内ということが確実と見込まれている会社なら今回のルール改正の影響を受けませんので、以下の内容は基本関係なくなります。
もし、5億円は間違いなく超えてしまう、または「微妙」という会社は下記の内容を事前に検討する必要があるでしょう。
個別対応方式/一括比例配分方式
95%ルールが適用できなくなると、預金利子すらないなど、非課税売上がゼロでない限り(個別対応方式)(一括比例配分方式)のいずれかで計算することになります。預金利子程度の非課税売上しかない大多数の会社は、経理処理の手間などを考慮して一括比例配分方式を採用するので経理処理は従来と変更ありません。
ただし、次のような理由により非課税売上がそこそこある場合には、個別対応方式と一括比例配分方式のいずれでも計算可能なようにして数値を比較して有利不利判定を行う必要があるかもしれません。
(個別対応方式を検討しなければならない非課税売上の例)
- 社宅を沢山もっていて社員から本人負担分を徴収している
- 投資として有価証券売買をかなりの量で取引している
- 土地の売買をした(する予定)
個別対応方式採用の場合の経理処理の違い
個別対応方式を計算するためには、課税仕入れが課税売上対応・非課税売上対応・共通対応に分けて、それぞれの年間税込合計額を算出しなければなりません。会計ソフトの消費税集計機能を利用すると集計可能なケースがほとんどですが、仕訳入力時に課税仕入れを3種類に分類して課税区分を入力しなければなりません。
税抜経理をしていて部門単位で課税売上・非課税売上が明確に分離されているケースでは仮払消費税を部門別管理して部門ごとの仮払消費税残高を逆算することにより3種類の年間税込合計額を算出することも可能です。
もし課税区分で対応する場合には仕訳入力の税区分の厳密化に対応するため入力者が正しく入力できる体制を対象期間の期首までに整えなければなりません。
詳しい内容については、国税庁タックスアンサーをご参照下さい。
実際の仕訳例が確認するなら ↓
【消費税95%ルールが適用できない場合の仕訳の注意点】
この記事は2012年5月19日現在の法律等に基づいて書かれていますが、各自の計算についてなんら保証するものではありません。
実際に計算する場合には税務署、税理士などの専門家へご確認の上計算をお願いします。
<(_ _)>
実際に計算する場合には税務署、税理士などの専門家へご確認の上計算をお願いします。
<(_ _)>
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【消費税95%ルールが適用できない!?】 [会計・経理・税務]
現在、政府は消費税増税の議論で大変な騒ぎになっていますが、経理の現場では増税とは別に(厳密に言えばほとんどの企業で増税になりますが…)、新しい法律により業務の見直しが必要となっています。
既にご存知の方には特に目新しい情報にはならないかもしれませんが、もし経理の現場で働いている方で
「え?何それ?」
という方がいらっしゃいましたら、確認してみて下さい。
また、経理をご存じない方にもせっかくの機会ですので、かみ砕いてご紹介したいと思います。
これを国がもっていくわけですが、どうやって徴収しているかご存知でしょうか?
例えば電気店で105,000円のパソコンを買ったとします。
そうすると消費税は5,000円ですね。
電気店は税務署に5,000円を納めるのでしょうか?
そうではありません。
ざっくり言ってしまうと、こういうことです。
電気店はメーカーからこのパソコンを63,000円で仕入れたとします。
そのときに電気店はメーカーに消費税3,000円を支払っているわけです。
従って、電気店は
5,000円-3,000円=2,000円
の消費税を納めているわけです。
「それでは電気店は客から預かった5,000円の消費税のうち、3,000円の消費税は着服しているのか?」
って話になるかというとそうではありません。
この3,000円はさきほどの通り、電気店からメーカーに行くわけです。
従ってまわりまわってメーカーが税務署に納めているわけです。
最終消費者が負担する消費税5,000円を流通する過程ごとに分けて支払っているわけです。
ですからメーカーも実は3,000円を税務署に納めているわけではなく部品代として支払った1,500円の消費税は差し引いて1,500円だけ払っているのです。
部品メーカーは材料屋さんに支払った消費税を500円から差し引いて…
というように仕入れが発生するごとに同じ計算が続き結局全部を合計すると
「パソコンの購入にかかる消費税5,000円が税務署に納められる」
という仕組みになっています。
支払う側から考えると
「売上にかかる消費税」-「仕入れにかかる消費税」=「納める消費税」
です。
ほとんどのものが課税商品です。
では非課税商品ってどんなものがあるでしょう…
消費税の納税額は販売先から預かった消費税から仕入れ先に支払った消費税を差し引いた金額ですから…
375万円-250万円=125万円
これは簡単ですね。
この建設会社の消費税の納税額を計算するには仕入れの際に支払った消費税がいくらだったのかを知る必要があります。
支払った消費税額は250万円となります。
建設会社が税務署に納める消費税は売上の消費税から仕入れの消費税を引くから…
250万円-(100万円+100万円+50万円)=0円
あれれ?消費税ゼロ円???
なんかおかしいですね。
消費税法では、
課税売上に対して支払った課税仕入れにかかる消費税だけ納税額の計算で差し引いてもいいですよ
ってルールがあります。
建設会社の仕入れのうち、土地造成費用は土地の仕入れとしてカウントするため非課税売上である土地の販売に関する費用として支払った造成費用にかかる消費税は納める消費税の計算で引いちゃだめですってことです。
従って正しい計算は
250万円-(100万円+100万円+50万円)=0円 150万円
となります。
ここまでは良いでしょうか?
整理しますと…
これは1年間の売上全体に占める課税売上割合が95%以上であれば仕入れにかかる消費税がどの売上に対してかかっていたとしても納める消費税を計算をするときに全額差し引いていいですよっていうルールです。
課税売上割合(%)= 課税売上(税抜)/全体の売上(税抜)
仮にそれぞれの会社の課税売上割合が以下の様になっていたとします。
(建設会社の課税売上割合)
5,000万円/1億5,000万円=33.33%
(販売会社の課税売上割合)
8,000万円/2億8,000万円=28.57%
上記の数値ですと2社とも95%ルールは使えません。
従いましてさっきの計算通りです。
土地を売買する建設会社とか不動産会社、有価証券を売買する証券会社などは非課税売上がたくさんあるかもしれませんが、どちらかというと少数派です。
では一般企業は非課税売上がゼロかというとそうでもないんです。
何だと思いますか?
そうです、預金の利子です。
「売上にかかる消費税」って表現なので「利子が売上?」って思われるかもしれませんが、消費税法上は収入は売上という考え方です。
低金利で預金の利子なんて微々たるものですが、どこの会社でも預金口座を持っていればいくらかは利子がつきますよね。
でも、もし非課税売上が利子だけならば「課税売上割合」は限りなく100%に近づきますよね。
従って95%ルールが適用されるので課税仕入れが課税売上/非課税売上どちらに対する仕入れかなんて気にしないで済んでいました。
ところが…
そうすると経理担当者は今まで気にもしてなかったことを考えなくてはなりません。
経理処理、どうやってやったらいいんだろう?
今日は、経理担当者でなくてもわかるところまでのお話でしたが次回は経理担当者が気を付けるべき論点をお伝えしたいと思います。
続きはコチラ ↓
【続 消費税95%ルールが適用できない!?】
実際の仕訳例が確認するなら ↓
【消費税95%ルールが適用できない場合の仕訳の注意点】
っていう話…
今回お伝えした消費税の計算構造を知っていると結構法律を作るのたいへんだろうなぁ、経理処理の現場は大混乱だろうなぁって考えちゃいます。
スーパーで売っているお肉って、むき身の肉で売られていませんよね。
プラスチックの容器とか紙のラベルが貼ってあったりして…
スーパーの肉は、「非課税売上」、そうすると精肉工場から仕入れるパック詰めされた肉は「非課税仕入れ」ってことは、精肉工場から見ればスーパーに売ったパック詰めした肉は「非課税売上」。
ここまではいいとして、
精肉工場が仕入れたプラスチック容器は、非課税仕入れ?課税仕入れ?
もし非課税仕入れとなると…
プラスチック容器販売業者にとって精肉工場に販売したプラスチック容器は「非課税売上」だけど、化粧品工場に販売したプラスチック容器は「課税売上」?
そうなるとプラスチック容器業者は、販売の都度
「この容器はいったい何に使うんですか?」
なんて聞かなきゃならないですかね?
それでも業者間取引なら、まだいいですが…
100円ショップのダイソーに
容器を仕入れに来た業者にはどうします?
レジに並んでいる人が
一般消費者か業者かなんてよくわかりませんよね?
「面倒だから、プラスチック容器は全部「課税取引にしよう!」
なんてことになるかもしれません。
そうすると精肉工場は…
スーパーにははプラスチック容器こみで「肉」(非課税商品)として売っているので
プラスチック容器分の消費税はもらえません。
でもプラスチック容器業者には消費税を支払わなければなりません。
しかも、消費税の計算で差し引くことも許されませんので、その分利益が減っちゃいます。
そうはいかないのでプラスチック容器込みの「肉」の値段にこっそり消費税分を上乗せしちゃいます。
こんなことをいろいろなパターンで想定していくことを考えると法律は大変な条件分けをしなければならないような気がしますし、
経理処理の現場も大混乱しそうです。
まさか、スーパー行ったら肉に
「肉(非課税)100円、容器(課税)5円」
の値札がついてるなんてことになったら大笑いですが…
馬の牧場のえさは、「競馬用に売られる馬用は課税、馬刺し用の馬のえさは非課税…」
うーん…
既にご存知の方には特に目新しい情報にはならないかもしれませんが、もし経理の現場で働いている方で
「え?何それ?」
という方がいらっしゃいましたら、確認してみて下さい。
また、経理をご存じない方にもせっかくの機会ですので、かみ砕いてご紹介したいと思います。
消費税って誰が税務署に支払っているの?
一般の消費者はほとんどの買い物に消費税を支払っています。これを国がもっていくわけですが、どうやって徴収しているかご存知でしょうか?
例えば電気店で105,000円のパソコンを買ったとします。
そうすると消費税は5,000円ですね。
電気店は税務署に5,000円を納めるのでしょうか?
そうではありません。
ざっくり言ってしまうと、こういうことです。
電気店はメーカーからこのパソコンを63,000円で仕入れたとします。
そのときに電気店はメーカーに消費税3,000円を支払っているわけです。
従って、電気店は
5,000円-3,000円=2,000円
の消費税を納めているわけです。
「それでは電気店は客から預かった5,000円の消費税のうち、3,000円の消費税は着服しているのか?」
って話になるかというとそうではありません。
この3,000円はさきほどの通り、電気店からメーカーに行くわけです。
従ってまわりまわってメーカーが税務署に納めているわけです。
最終消費者が負担する消費税5,000円を流通する過程ごとに分けて支払っているわけです。
ですからメーカーも実は3,000円を税務署に納めているわけではなく部品代として支払った1,500円の消費税は差し引いて1,500円だけ払っているのです。
部品メーカーは材料屋さんに支払った消費税を500円から差し引いて…
というように仕入れが発生するごとに同じ計算が続き結局全部を合計すると
「パソコンの購入にかかる消費税5,000円が税務署に納められる」
という仕組みになっています。
支払う側から考えると
「売上にかかる消費税」-「仕入れにかかる消費税」=「納める消費税」
です。
消費税がかからない商品・サービスとは?
ところが、世の中で売っている「商品」には「消費税がかかるもの(課税)」と「そうでないもの(非課税)」があります。ほとんどのものが課税商品です。
では非課税商品ってどんなものがあるでしょう…
- 土地の売買
- 家賃(住居)
- 病院の治療費
- 預金の利子
- 株式の売買
- 学校の教科書
消費税の納税の仕組みを実例で確認
〔実例〕
建設会社が土地付きの1戸建てを売り出して、それを住宅販売会社がそっくり買って利益をのせて一般消費者に販売した
建設会社が土地付きの1戸建てを売り出して、それを住宅販売会社がそっくり買って利益をのせて一般消費者に販売した
建設会社が土地1億円/建物5,000万円(税抜)で販売会社に販売すると…
1億5,250万円が販売価格となります。
土地 | 1億円 | 非課税なのでそのまま |
建物 | 5,250万円 | 課税なので250万円の消費税がプラス |
合計 | 1億5,250万円 | うち消費税250万円 |
販売会社がこの土地付き建物を購入して5割の利益を上乗せして消費者に販売すると…
2億2,875万円が販売価格となります。
土地 | 1億5千万円 | 非課税なのでそのまま |
建物 | 7,875万円 | 課税なので375万円の消費税がプラス |
合計 | 2億2,875万円 | うち消費税375万円 |
販売業者の納税額
販売業者はいくらの消費税を税務署に納めることになるでしょうか?消費税の納税額は販売先から預かった消費税から仕入れ先に支払った消費税を差し引いた金額ですから…
375万円-250万円=125万円
これは簡単ですね。
建設業者の納税額
では建設会社はどうでしょうか?この建設会社の消費税の納税額を計算するには仕入れの際に支払った消費税がいくらだったのかを知る必要があります。
建設会社の仕入れにかかる消費税を確認する
土地 | 5,000万円 | 非課税なのでそのまま |
土地造成費用 | 2,100万円 | 課税なので100万円の消費税がプラス |
建築外注費 | 2,100万円 | 課税なので100万円の消費税がプラス |
建築資材代金 | 1,050万円 | 課税なので50万円の消費税がプラス |
合計 | 1億250万円 | うち消費税250万円 |
建設会社が税務署に納める消費税は売上の消費税から仕入れの消費税を引くから…
250万円-(100万円+100万円+50万円)=0円
あれれ?消費税ゼロ円???
なんかおかしいですね。
単純に支払った消費税を全額差し引けるわけではない
先ほどの例で建設会社の納税額がゼロになったしまった裏側にはこんなカラクリがあります。消費税法では、
課税売上に対して支払った課税仕入れにかかる消費税だけ納税額の計算で差し引いてもいいですよ
ってルールがあります。
建設会社の仕入れのうち、土地造成費用は土地の仕入れとしてカウントするため非課税売上である土地の販売に関する費用として支払った造成費用にかかる消費税は納める消費税の計算で引いちゃだめですってことです。
従って正しい計算は
250万円-(
となります。
ここまでは良いでしょうか?
整理しますと…
- 納める税金は「売上の消費税」から「仕入れの消費税」を差し引いた残額
- ただし非課税売上に対して仕入れたものは差し引き計算に含めてはだめ
- 非課税売上には土地の売買/預金の利子/居住用の家賃などがある
消費税の95%ルールとは?
消費税計算のルールで有名なものに95%ルールというものがあります。これは1年間の売上全体に占める課税売上割合が95%以上であれば仕入れにかかる消費税がどの売上に対してかかっていたとしても納める消費税を計算をするときに全額差し引いていいですよっていうルールです。
課税売上割合(%)= 課税売上(税抜)/全体の売上(税抜)
仮にそれぞれの会社の課税売上割合が以下の様になっていたとします。
(建設会社の課税売上割合)
5,000万円/1億5,000万円=33.33%
(販売会社の課税売上割合)
8,000万円/2億8,000万円=28.57%
上記の数値ですと2社とも95%ルールは使えません。
従いましてさっきの計算通りです。
95%ルールの適用の現実
ところが世の中の企業のほとんどが非課税の売上なんてありません。土地を売買する建設会社とか不動産会社、有価証券を売買する証券会社などは非課税売上がたくさんあるかもしれませんが、どちらかというと少数派です。
では一般企業は非課税売上がゼロかというとそうでもないんです。
何だと思いますか?
そうです、預金の利子です。
「売上にかかる消費税」って表現なので「利子が売上?」って思われるかもしれませんが、消費税法上は収入は売上という考え方です。
低金利で預金の利子なんて微々たるものですが、どこの会社でも預金口座を持っていればいくらかは利子がつきますよね。
でも、もし非課税売上が利子だけならば「課税売上割合」は限りなく100%に近づきますよね。
従って95%ルールが適用されるので課税仕入れが課税売上/非課税売上どちらに対する仕入れかなんて気にしないで済んでいました。
ところが…
便利な95%ルールが廃止された さてどうする経理担当者?
このルールが廃止(小企業では引き続き残りますが)されました。そうすると経理担当者は今まで気にもしてなかったことを考えなくてはなりません。
経理処理、どうやってやったらいいんだろう?
今日は、経理担当者でなくてもわかるところまでのお話でしたが次回は経理担当者が気を付けるべき論点をお伝えしたいと思います。
続きはコチラ ↓
【続 消費税95%ルールが適用できない!?】
実際の仕訳例が確認するなら ↓
【消費税95%ルールが適用できない場合の仕訳の注意点】
(おまけ)軽減税率と消費税の納税額計算の事務処理について
ところで消費税増税論議とともに浮上するのが「食品」など生活必需品を非課税にして!っていう話…
今回お伝えした消費税の計算構造を知っていると結構法律を作るのたいへんだろうなぁ、経理処理の現場は大混乱だろうなぁって考えちゃいます。
スーパーで売っているお肉って、むき身の肉で売られていませんよね。
プラスチックの容器とか紙のラベルが貼ってあったりして…
スーパーの肉は、「非課税売上」、そうすると精肉工場から仕入れるパック詰めされた肉は「非課税仕入れ」ってことは、精肉工場から見ればスーパーに売ったパック詰めした肉は「非課税売上」。
ここまではいいとして、
精肉工場が仕入れたプラスチック容器は、非課税仕入れ?課税仕入れ?
もし非課税仕入れとなると…
プラスチック容器販売業者にとって精肉工場に販売したプラスチック容器は「非課税売上」だけど、化粧品工場に販売したプラスチック容器は「課税売上」?
そうなるとプラスチック容器業者は、販売の都度
「この容器はいったい何に使うんですか?」
なんて聞かなきゃならないですかね?
それでも業者間取引なら、まだいいですが…
100円ショップのダイソーに
容器を仕入れに来た業者にはどうします?
レジに並んでいる人が
一般消費者か業者かなんてよくわかりませんよね?
「面倒だから、プラスチック容器は全部「課税取引にしよう!」
なんてことになるかもしれません。
そうすると精肉工場は…
スーパーにははプラスチック容器こみで「肉」(非課税商品)として売っているので
プラスチック容器分の消費税はもらえません。
でもプラスチック容器業者には消費税を支払わなければなりません。
しかも、消費税の計算で差し引くことも許されませんので、その分利益が減っちゃいます。
そうはいかないのでプラスチック容器込みの「肉」の値段にこっそり消費税分を上乗せしちゃいます。
こんなことをいろいろなパターンで想定していくことを考えると法律は大変な条件分けをしなければならないような気がしますし、
経理処理の現場も大混乱しそうです。
まさか、スーパー行ったら肉に
「肉(非課税)100円、容器(課税)5円」
の値札がついてるなんてことになったら大笑いですが…
馬の牧場のえさは、「競馬用に売られる馬用は課税、馬刺し用の馬のえさは非課税…」
うーん…
この記事は2012年5月19日現在の法律等に基づいて書かれていますが、各自の計算についてなんら保証するものではありません。
実際に計算する場合には税務署、税理士などの専門家へご確認の上計算をお願いします。
<(_ _)>
実際に計算する場合には税務署、税理士などの専門家へご確認の上計算をお願いします。
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