【テレビドラマ『永遠の0(ゼロ)』は 素晴らしい「作品」であることを伝えたい】 [テレビ・ラジオ]

出典:「テレビ東京公式サイト」
既に原作の小説も映画も公開から数年経っており公開当時も絶賛される反面、賛否両論の議論も多数沸き起こった作品です。
既にその当時にいろいろなことをお考えになった方も多いかもしれません。
遅ればせながら私は最近になってこの作品を観ました。
当時も話題作であることは知っておりましたが、原作の作者が苦手であること、太平洋戦争を扱った映像作品はあまり観る気がしないこともあって「あえて素通りした」作品だったのです。
今回テレビドラマ『永遠の0(ゼロ)』を視聴してみて大変感動し、素晴らしい作品であることを伝えたいと思いブログでの記事にすることにしました。
テレビドラマ『永遠の0(ゼロ)』は 素晴らしい「作品」であることを伝えたい
この記事の目次
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生と死について考えさせられる作品として素晴らしい
私はこのテレビドラマ『永遠の0(ゼロ)』を視聴して生と死についてとても深く考えさせられました。主人公である「宮部久蔵」の生き様を通して深く心に突き刺さる思いを感じました。
日本人にとって最も身近である太平洋戦争を題材にしており、しかもその中でも特に死との極限状態を描く時に用いられやすい「神風特攻隊」を描く時、「反戦」なのか「戦争賛美」なのかといった議論に巻き込まれやすいと思います。
ともするとその「思想」に重点が置かれてしまう中で、テレビドラマ『永遠の0(ゼロ)』は「作品」として素晴らしい出来栄えだったと私は評価したいと思います 。
テレビドラマ『永遠の0(ゼロ)』発表まで
原作は百田尚樹の小説『永遠の0』。小説の発表は2006年であり氏の作家デビュー作ということです。
2013年12月には映画が公開され大ヒットしました。
第38回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、2014年邦画興行収入第1位を記録するなど成功を収めた映画と言えると思います。
そして2015年に私が試聴したテレビドラマ『永遠の0(ゼロ)』がテレビ東京の開局50周年記念ドラマとして放送されました。
私は原作の小説を読んでおりませんし映画も視聴しておりませんので、その内容についての評価は一切できません。
本ブログではテレビドラマとして放送された『永遠の0(ゼロ)』についてのみ言及したいと思います 。
『永遠の0(ゼロ)』食わず嫌いにされている作品
私がそうであったようにこの『永遠の0(ゼロ)』の原作である小説の作者が百田尚樹氏であるが故に敬遠している方は少なからずいらっしゃるかと思います。何かと物議を醸す発言の氏です。
先日もツイッターが軽く炎上していたようですが、戦争を扱った話であれば当然「アレ」な感じのものなんだろうな、と想像しがちです。
私はそんな先入観があって敬遠していた作品でしたが、視聴してみてまったく違う印象を受けました。
あるレビューでも「何故、彼がこんな作品を書けたのか?」とか「本当に彼の作品なのか?」といったものも見受けました。
私も同じような印象を持っています。
もし作者が苦手で作品を敬遠している方がいらっしゃいましたら是非ご覧になって欲しい作品です 。
テレビドラマ『永遠の0(ゼロ)』の概要
ネタバレしない程度に簡単にドラマの概要をお伝えしたいと思います 。ストーリー
太平洋戦争で神風特攻隊で命を落とした『宮部久蔵』について、その孫にあたる二人の姉弟が戦争当時の彼らの祖父を追うという筋立てです。二人の祖父を追う調査は当時の宮部久蔵を知る人物を訪ねることによって話が進みます。
何人もの人物の話を聞くにつけ、「何故、自分たちの祖父が特攻隊員として死んだのか?」ということが一つの「謎」として浮かび上がるようになります。
その「謎解き」の様なストーリー展開が観るものの気持ちを惹きつけてやまない、そんな作りになっています 。
キャスト
主演の向井理さんをはじめ、皆さんとても素晴らしい演技だったと思います。配役がとても良かったと思います。
映画を既に観た方は違和感がある方もいるかもしれませんが、レビューを読んだ印象では映画を観た方でも概ね配役に違和感なく観れたようです。
キャストの画像の出典はすべて「テレビ東京公式サイト」
主人公 『宮部久蔵』:向井理

優れた戦闘機パイロットとしての腕がありながら愛する妻子のために生きて帰国することに執着し、誰もが「お国の為に命を捧げる」ことが当たり前とされた時代に「命が惜しい」と公言して上官から怒りを買い、同僚からも疎まれても自分を曲げない信念の強い兵士を演じます。
向井さんの寡黙で葛藤と闘いながら苦悩する抑えた感情の機微を映し出す姿が感動を誘います。
祖父を調べる姉 『佐伯慶子』:広末涼子

ライターを目指して仕事として舞い込んで祖父を調べ始めます。
しかしながら初めて話を聞きに行った祖父の戦友の衝撃的な話を聞き、「祖父の真実」を知るために日本全国を弟と一緒に巡ることになる。
私生活でも葛藤の中を生きている女性をこちらも抑えた演技でこの話の「水先案内人」の役目も果たしていると言えます。
祖父を調べる弟 『佐伯健太郎』:桐谷健太

姉・慶子に「付き合わせられる」形でしぶしぶ始まった祖父を巡る旅でしたが、「祖父の真実」を知れば知るほど後には引けないものを感じ取る。
昔の話を聞く側の気持ちの動揺などに深みを与えるためにも大切な役どころを演じています。
帰りを待つ妻 『宮部松乃』:多部未華子

主人公「宮部久蔵」は出征の間際に話したこともない相手と結婚します。
妻・松乃とはたった1週間の結婚生活です。
しかし出征後たまたま内地に寄る機会があって突然の帰宅をした時に妻の自分を思う気持ちに触れ、家族のために帰国することを誓います。
宮部は妻と、そしてその後生まれる我が子の写真を肌身離さず持って、家族の為にどんなことをしてでも生きて帰ることを戦地でも思いそして実践します。
脇役陣も素晴らしい演技でした
当時の証言をする戦友の現代の配役陣は、近藤正臣、石橋蓮司、柄本明、竜雷太といった人たちが固めています。それぞれの主人公「宮部久蔵」に対する思いが伝わる雰囲気を醸し出しています。
戦時中の戦友の配役陣は中村蒼、中尾明慶、満島真之介、石黒英雄、賀来賢人、金井勇太、工藤阿須加、渡辺大といった面々が演じています。
私が特に印象に残ったのは、宮部をパイロットとしてライバル視していた景浦を演じた尾上松也です。
将来暴力団幹部となったその後を演じた柄本明の存在感もとても素晴らしいと感じました。
千原せいじ、澤部佑、木下隆行らお笑い芸人もキャストとして登場しますが、決してお笑い担当ではなくそれぞれの役どころを演じきったと思います 。
映像はこんな感じです
テレビ東京のオフィシャルPVがありましたのでそちらをご紹介します。死と向き合う人間の姿を描き切った作品
死と向き合う人間ドラマとしてこの作品はとても良くできていると思いました。戦争を題材にするとどうしても「反戦」というテーマに注目しがちですが、この作品はそれよりも死と向き合う人間の姿や「生きる」という事にスポットを当てた作品として評価したいと考えております。
太平洋戦争を扱う映画はどうしても「史実」との整合性、戦争の意味などがどう描かれているかが問われてしまいます。
漫画やアニメで戦いをモチーフにして描く作品では架空の国や人物を題材としているケースが非常に多いと感じています。
これは「時代考証」や「歴史考証」をする必要が無い、という製作効率上の観点もあるかもしれませんが、物語そのものや本当にその作品が訴えたい部分が薄れてしまうのを避ける効果があるように感じています。
本作品も「反戦」という観点から考えると、不足している視点も多く評価を高くすることができないかもしれません。
しかしながら日本で起きた「太平洋戦争」をモチーフにした人間ドラマを描きたかったとするのなら評価できると考えています。
私はこの作品における「史実の考証」が正しいのかどうかを判断できるほど戦争の歴史について詳しくありませんが、少なくとも作品の意図するところを妨げることなく描いていて「特攻隊」という取り扱いが更に難しい出来事を良く取り込んだ作品であると感じています。
主人公・宮部が矛盾を感じざるを得ない作戦に自分自身も加担しながらもそれでも自分が絶対に譲れない事を最後まで大切に生き続けたことにとても感動を覚えます。
そして彼が何故特攻隊という「十死零生」という生き残る可能性の無いものに志願したのかを知りたくて物語に引き込まれていきました。
生と死に考えさせられるドラマとしてはこの作品を思い出しました。
⇒ 【Angel Beats! 人生を考えさせる感動のアニメ】
このアニメでも語られていましたが、どうしても死を受け入れなくてはならない時に「人はその死が意味あるものにしたい」と考えるということです。
私にはまだ実感が湧かない面も多いのですが、避けられない死が目前にある時に人はそんなことを思うものなのかもしれないなと考えてもいます。
そしてその様な姿に触れることに人は感動を覚えるものなのかもしれないということです 。
「戦争賛美」とか「好戦的な考え」を助長する作品であるという批判に違和感を感じる
発表当時から「永遠の0(ゼロ)」という作品は反戦映画として素晴らしいという意見とは反対に「戦争賛美」の要素があることで批判的に取り上げることも多かったと知りました。私自身、作者である百田尚樹氏のことはあまり詳しいことは知りませんが、自然に入ってくる断片的な情報からは「戦争賛美」的な作品を作ってもおかしくない、という先入観を持っておりました。
しかしこの作品、少なくともテレビドラマ版の『永遠の0(ゼロ)』を観た限りでは「戦争賛美」を助長する作品と言うにはかなり無理があるように感じます。
もちろんこの作品を観て感動をしたからと言って、原作者への私の考え方は何も変わっていませんが、「作者」と「作品」は切り離しても良い作品であるように思います。
確かにメッセージ性を持つ作品において作者の普段の言動は多かれ少なかれ読み手、観客の判断に影響を及ぼすのかもしれませんが、それを考慮に入れてもこの作品は「戦争賛美」と取れるような内容は無いように思います。
増してや「特攻を美化している」といった印象を持つことはありませんでした。
もしその様な理由でこの作品に触れるのを避けている方がいたら、一旦「作者は脇に置いて」この作品に触れて観ることをお勧めします。
同様に感じた方も少なくない様でネットなどでもその意見に触れることができます。
その中でもこの方の文章はほぼ私の思うところを過不足なく語ってくれていると感じました。
良かったら読んでみて欲しいと思います。
⇒ どうしても違和感を覚えてしまう『永遠の0』への「戦争賛美」批判
私自身はこの作品を観終わった後でも作者個人に対する印象に変化はありませんが、作者が嫌いとかそんな理由で優れた作品を観る機会を失うのは勿体ないという思いを抱くようにはなりました 。
優れたエンターテインメント性を感じさせる作品
太平洋戦争を描いた作品でこの様な評価をすると不謹慎だ、という様なことを思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私はこのテレビドラマ版の『永遠の0(ゼロ)』はエンターテインメント性に優れた作品だと思っています。二人の姉弟が昔の戦友に会うことによって、祖父の姿を少しづつ知ることになります。
しかしながら、「何故、祖父は特攻隊員として死ぬことになったのか?」と謎を追えば追うほど、会う人により異なる祖父の人物像に触れ謎は深まっていく。
そして最後にその核心に触れることによって涙が止まらないほど祖父の気持ちに触れることができた、といったストーリー展開はとても観るものを飽きさせず引き込まれる物語になっていると思います。
また登場人物と主人公・宮部とのかかわり方がそれぞれ異なり興味を引きます。
「魔物」だと評して宮部のことが「大嫌い」だったと昔を回顧する暴力団の元幹部という景浦介山との関わりが物語として最も面白かったです。
このドラマ観賞を進めていくうちに、「この雰囲気、何かに似ているなぁ?」と感じました。
それは小説を読んで涙が止まらなかった浅田次郎著『壬生義士伝(みぶぎしでん)』の展開にとても似ていました。
そしたら既に『壬生義士伝』の表現をパクッているって批判もあったみたいですね。
Wikipediaにはこんな記述があります。
「『永遠の0』はつくづく可哀想な作品と思う。文学好きからはラノベとバカにされ、軍事オタクからはパクリと言われ、右翼からは軍の上層部批判を怒られ、左翼からは戦争賛美と非難され、宮崎駿監督からは捏造となじられ、自虐思想の人たちからは、作者がネトウヨ認定される。まさに全方向から集中砲火」とコメントした
興業的に成功を収めたと言える作品ではありますが、まさに言いがかりの様な批判も混じっている様に感じます。
作者が極端な発言を連発するが故とも言えそうです。
私もそういう意味では可哀想な作品の様にも思えます 。
私が太平洋戦争を題材にした映画を避けていた理由
この作品は太平洋戦争や特攻隊をモチーフとして描かれていますが、「戦争」に対する深いメッセージ性は無いように感じています。反戦の思いを強くする映画として『蛍の墓』は名作だと思います。
戦争がこれほど人を不幸にするという理不尽さ、哀しみを訴えてやまない作品だと思います。
でもこの『永遠の0(ゼロ)』という作品で描かれているのは戦争に巻き込まれた不幸な子供ではなく「自分の意志」で戦争という理不尽なものにどう向き合うのか、といったことだと思います。
「一般市民にとっての戦争」を描いた作品と異なり「軍人」を描いた作品ではどうしても「相手を殺している事実」が目の前に来てしまうので単純に被害者という気持ちになりにくいと感じます。
例え職業軍人でなくても敵を銃や爆弾で攻めれば相手は死ぬという事実を目の当たりにするとそこで死を覚悟して戦う人たちに「悲惨な戦争の犠牲者」というくくりで見られなくなってしまいます。
この作品の中でも主人公の宮部に「俺は自分を人殺しだと思っている。」と言わせています。
彼は被弾した戦闘機からパラシュートで脱出した敵パイロットを銃撃して仲間から非難されています。
また戦いを描いた作品ではよく「非合理な作戦で死ななければならない理不尽さ」の様なテーマが盛り込まれています。
特攻隊もそんな側面があります。
でもいつも思うのが、「ではあの戦争に勝っていれば日本人は悲しくはなかったのか?」ってことに行き当たるのです。
作戦が合理的で「うまく戦えた戦争なら良かったのか?」という事になってしまうからです。
「負けたから悲しく」て、「勝ったなら報われた」のか、ということにとても違和感が出てしまうのです。
実際の戦場を描く作品を私がエンターテインメントとしてしか観られないのはこんな理由からです。
ですから最近はあまりシリアスな戦争を題材にした映画を避けていたのですが、今回この作品に出会って生と死を見つめるという点において太平洋戦争も決して悪いテーマではないのかなって思いました。
太平洋戦争を題材にする作品ってなかなか難しいなって思いました。
私は「人は避けられない死と直面した時にせめてその死が意味あるものと思いたい」という感情があることを描いたこの作品で「そうなのかもしれないな」って思いました。
でもそれは「戦争に駆り出される理由」として利用されてはいけないことだと強く思いました。
少なくともこの映画を観て「特攻隊」が人の死の尊厳を高めたことにした、なんて描かれ方はしていません。
太平洋戦争を描くというのはなかなか難しいなかで、いろいろな「見られ方」をされてしまいやすい題材をうまくギリギリの線で、戦争を美化せず、だからと言って反戦に主眼を置いたものでもなくエンターテインメント性を損なわず作品として成立させたという点を評価をしたいと思っています。
6時間という作品の長さ
私は常々、人の機微を描くような人間ドラマでは映画の約2時間という「枠」では細かなところまで描き切るにはちょっと時間がたりないのでは?と思っています。ですから1話約2時間の3話完結としたこの「永遠の0(ゼロ)」は細かい描写も十分に描かれていて良かったのではないかと思います。
決して長時間の作品からくるダレると言うこともなく引き込まれていくことができ、見ごたえのある作品になっていると思います。
私は原作の小説も映画も観ておりませんので映画では端折った部分があって描き切れなくて残念だった、という様なことは言えません。
ですが、レビューを読むとそんな意味のことが書かれているのに触れて少なくともテレビ版は長時間ドラマとして成功した作品では無かったかと思っています。
原作者の百田尚樹氏もテレビ東京の公式サイトへ以下のようなコメントを寄せています。
「このたび、テレビ東京から『永遠の0』をドラマ化したいという申し出を受けました。三日間通しての放送と聞いて、心が震えました。映画版は原作者である私自身が大いに満足した出来栄えでしたが、もとが600ページ近い長編だけに、原作の世界観が十全に再現されたものではありませんでした。しかし、今回のテレビ東京の企画は限りなく原作に近づいたものです。脚本も見せていただきましたが、主人公である宮部久蔵だけでなく、彼を取り巻く様々な男たちの姿が生き生きと描き出されていることに感動しました。どんな風に映像化されるのか、本当に楽しみです。」
私がこのドラマを観たきっかけ
「永遠の0(ゼロ)」は原作もベストセラーとして有名でしたし映画もヒットしていたので名前は良く知っていましたが、特に読みたい、観たいと思っていませんでした。そんな私が何故観たかと言えば、アマゾンプライムで映画を物色していてたまたま観てみようかな?って思ったからです。
私はアマゾンの術にはまってまんまとAmazonプライム会員になってしまっていたので、時々無料で観れるアマゾンプライム会員特典の無料映画を視聴しています。
アマゾンのサイトでどの映画を観るかを検討する時には「カスタマーレビュー」を参考にします。
まずは評価ポイントである★の数が多い作品を中心に物色します。
そして次に評価そのものの数が多い、つまりは評価している人が多いということを参考にしています。
また評価コメントも参考にしています。
「永遠の0(ゼロ)」は満点の★5つのうち、「4.4」と高評価だったので目に留まりました。
50人以上と割と評価者も多い中での高評価でしたので評価コメントを読むことにしました。
すると思いのほか思い入れのある評価で観たくなるような記述が多かったのです。
ただ映画を期待していたのですが、映画は残念ながら無料視聴の対象では無かったのでちょっとがっかりしました。
そんななか、「映画よりむしろこのテレビ版の方が中身が濃くて高評価」というようなレビューを複数見ることができて視聴することにしました。
そして思いのほか感動してこうしてブログ記事として紹介したくなったということです。
アマゾンプライムにご加入の方には「ウォッチリスト」に加えておくことをお勧め致します。
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