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【「不動産投資で不正に消費税を還付」事件に思う事】 [不動産投資]

先日ニュースになった消費税の不正還付事件について考えたいと思います。

手錠された手でPC操作

以前から不動産投資の世界ではこの手の還付の手法はよく取り沙汰されていました。

『違法ではないけどグレー』そんな感じの手法で、まだ一般的でない頃には『商材』として『売られて』いたりしました。

『商材』になればいずれは『知る人ぞ知るちょっとおおっぴらにはできない節税法』から、一気にポピュラーになり誰もがやり始め目立ってきて…そして当局が規制する。

そんな流れになったという背景のあるお話です。

まずは記事を引用して概要をご紹介しますと…


ほけんの窓口:創業者を立件方針 消費税不正還付の疑い

 複数の保険会社の商品を扱う乗り合い型代理店を展開する「ほけんの窓口グループ」(東京都渋谷区)の創業者、今野則夫前社長(58)が、不動産取引を巡って消費税数千万円を不正に還付されていた疑いがあるとして、東京地検特捜部は消費税法違反容疑で前社長を立件する方針を固めた模様だ。前社長の知人男性が不正還付の手口を指南した疑いもあり、近く関係先を家宅捜索するとみられる。

 関係者によると、前社長が代表を務める資産管理会社「東京レジデンス」(東京都新宿区)は都内のマンション2棟を購入し消費税を支払ったが、中古自動車を販売したり、コンサルタント料を受け取ったりしたように装って架空の売り上げを計上し、消費税数千万円の不正還付を受けた疑いが持たれている。

 消費税は、売り上げに伴う消費税額から、材料購入など仕入れにかかった消費税額を差し引いた分を事業者が納付する仕組み。一定額は還付を受けられるが、マンション賃料収入には消費税がかからないため、他に売り上げがない場合は還付を受けられない。このため前社長は経理操作をしたとみられる。

 ほけんの窓口グループによると、前社長は4月18日、国税当局に申告漏れを指摘されたことを理由に退任。同グループは1995年に設立され、2012年に現社名に変更した。12年6月期の売上高は139億円。店舗数を400超に伸ばしている。
毎日新聞 2013年06月27日 より引用



消費税はその名の通り、『消費』に対して課税する税金ですので、流通過程にある企業で消費税のかかる物品を購入しても消費税がかかりません。

購入する時に消費税が免除になるわけではなく売上に含まれる消費税を全額税務署に納めずに支払った消費税を差し引いて納税することにより消費税を『実質的に』支払わずに済ませているのです。

これを消費税法では『仕入税額控除』と呼び、適正な処理になっています。

この仕組みは、こちら記事に書いていますので詳しく知りたい方はクリック
【消費税 95%ルールが適用できない!?】

ただ、この『支払った消費税を差し引くこと』ができるのは、消費税がかかる売上に貢献した仕入に対してだけだ、という考え方がベースにあります。

例えば、『非課税』売上しかないような企業では『仕入税額控除』は一切できませんので、消費者とまったく同様に消費税を負担することになります。

そして不動産投資における『売上』は、まさにこの『非課税』なのです。

家賃収入は居住用に限り非課税です。

店舗の家賃とか工場の家賃は消費税は課税されますが、アパートとかマンションの様に居住用には消費税はかかりません。

従って居住用の不動産のみの大家業の方は仮に課税事業者になるほどの沢山の売上があっても『仕入税額控除』を受けることができません。

ところが…

1棟の中古マンションを購入して不動産投資を始めるとなると消費税を多額に支払います。

例えば…

1億円のマンションで土地と建物の比率が6:4だとして4,000万円の建物だったとすると支払う消費税は4,000万円/1.05×0.05で約190万円になります。

「これをほぼ全額取り戻すことができますよ♡」って囁かれたら、気持ちがぐらつく人もいるでしょう。

では、どうやるかというと…

『無理やり』課税売上を作ってしまえばいいのです。

よくやる手法は自動販売機。

アパートやマンションにジュースなどの自販機を設置してその収入を『課税売上』として計上するわけです。

ただ『仕入税額控除』は全売上の課税売上の占める割合しか控除できませんので、その課税期間(普通は1事業年度です。個人事業者なら1月から12月までの1年間。)の売上の比率が問題になります。

例えば4月に投資用マンションを購入し、9ヶ月の家賃収入が年間990万円あって、自販機収入が10万円だと、課税売上割合は、

10万円/(990万円+10万円)=1%

となります。

そうすると購入したマンションの消費税の『仕入税額控除』は190万円全額ではなく、190万円×課税売上割合、つまり1万9千円しか控除できません。

じゃぁ、どうするか…。

12月にマンションを購入して、ちょっとだけ家賃収入を計上します。

例えば10日分とか…。

10日分だと11万円です。

さらに空室があればもっと下がります。

そしてジュースの売上は、10万円ばっちり売れたとすると…

課税売上割合は、

10万円/(11万円+10万円)=47.6%

となります。

そうすると『仕入税額控除』は…

190万円×47.6%

で約90万円になります。

しかも消費税の課税売上は10万円ですから10万円の売上に係る消費税は、5千円で控除の方が断然多いです。もちろんジュースには仕入代金もあります。

仮に5万円の仕入値なら消費税の計算はこうなります。

『受け取った消費税』-『支払った消費税』×課税売上割合=『納税すべき消費税』

つまり、

(10万円×5%)-(5万円×5%+建物購入代金に係る消費税)

=5千円-(2万5千円+190万円)×47.6%

計算すると▲911,300円になります。

あれ?マイナスです。

マイナスになったらどうなるのでしょうか?

そうです、その場合、消費税が還付されるのです。

90万円の還付金額が大きいか小さいかは人それぞれでしょうが、更に課税、非課税の比率を変えるように工夫をしたりすれば…

また購入した不動産がもっと大きな額なら…

ちなみに本来、年間10万円しか課税売上がない事業者は消費税は免税事業者になります。

でも還付を受けるために『課税事業者』を進んで申請して還付を受けることにしています。


手法としてはこんなところです。(細かなところは省略していますが…)

ちなみに今回取り上げられた事件では課税売上の計上を『自販機』ではなく自動車販売やコンサルタント料などで行ったということです。


こんな手法、確かに法律を読み解いていけば逸脱はしていませんのでグレーな感じはしますが、なかなか正面からは非難しにくいのかもしれません。

とは言え、このような類似的な手口が横行し税務当局は苦々しく思っていたことでしょう。

そして派手になってくれば本腰を入れて規制するのが常です。

税務当局はおおっぴらにこんなことやられては税収も減るしメンツにもかかわるでしょう。

2010年4月以降はこの方法がほぼ使えないように法律を改正しました。

細かな説明は専門的な部分があるので省きますがご興味がある方はコチラを

自動販売機を利用した消費税還付手法の終焉

結論として以前の様に簡単にはできなくなりました。

ただ現在も『法改正後も合法的に還付ができます』としてコンサルしている税理士さんなどもいます。

もちろん条件に合致する大家さんもいますので不可能ではないですが、従前の手法を利用する人たちのニーズには必ずしも合致していないかもしれません。


さて、別のニュース記事ではさらにこの事件を辛辣な表現で伝えています。


消費増税控え「国だます詐欺」に監視強化

 消費税の不正還付は税金をだまし取ることになるため「国に対する詐欺」とも呼ばれ、脱税の中でも悪質性が高いとされる。昨年6月までの3年間で発覚した不正還付は約51億円。報酬目当てに手口を指南する「脱税コンサルタント」も暗躍する。来年4月に消費増税も予定される中、捜査・国税当局は不正に対し警戒を強めている。

 消費税は、事業者が「売り上げ時に消費者から預かった消費税額」(A)と「仕入れ時に支払った消費税額」(B)の差額を国に納める仕組みだ。Bが増えるほど納税額は減るほか、BがAを上回れば消費税の過払い状態となり、還付を受けられる。

 石沢靖久容疑者はこの仕組みを悪用。自動車の販売など架空の取引を計上してBの割合を増やすことで、不正還付を受ける手口を指南していた。

 今野前社長は税務当局などの調査に「石沢氏に教わった方法で合法だと思っていた」と説明したが、捜査関係者は「税理士でもない石沢容疑者から聞いた方法を実践した以上、『違法と知らなかった』では済まされない」と指摘している。

 別の捜査関係者は、来年4月に予定される消費税率8%への引き上げを前に「消費税の不正還付に対して、捜査当局や税務当局がマークを強めている面もある」と指摘する。税率が高くなれば事業者が預かる消費税も増え、脱税の動機が強まる懸念があるためだ。

 昨年11月には特捜部が、消費税の脱税を指南していた経営コンサルタントの男(65)と、顧客の経営者ら計3人を逮捕。6月には岡山地検も同容疑で清掃会社役員の男を逮捕している。

 この捜査関係者は「不正還付は国をだますという意味で悪質。節税アドバイスに安易に飛びつくことは、犯罪になりかねない」と警鐘を鳴らしている。
msn 産経ニュース 2013.6.28 より引用



中古車業者でもない会社の自動車販売やコンサルタント料なんて名目の売上は税務当局に目の付けられやすい項目です。

新聞等の記事ではこれらの売上を『架空売上』と表現していますので、税務当局は『嘘っぱちのでっちあげの売上』という扱いなのでしょう。

先述の自販機の売上は架空ではなので『自販機組』よりも悪質と判断されたのでしょう。

しかも当事者は保険業界で一躍名を上げた有名人ですので恰好の標的だったのかもしれません。

『みせしめ』にはもってこいというか…。

ちなみにこの事件の発生時期は税務当局が法改正する前の出来事の様です。

ということは、もし『架空売上』である点が問題視された事件でないのなら『自販機組』にとっては大変なことなります。

税務の時効は7年間ですから一斉に摘発でもされたら大変です。


仮に法律上はつじつまが合っていても、税務当局には『租税回避行為』という伝家の宝刀があります。

wikipediaの説明がとてもわかり易いので引用させて頂きます。


租税回避(そぜいかいひ; tax avoidance; Steuerumgehung)とは

 租税回避(そぜいかいひ; tax avoidance; Steuerumgehung)とは、通常用いられる法形式を回避した経済的に合理的理由のない異常な法形式による取引を行うことで、租税負担の軽減または排除を行うことをいう。租税法律主義によって形式的には合法だが、租税公平主義等の観点から容認できないとして、このような抜け道をふさぐために、実質主義の観点から税法上の個別又は一般の否認規定をもうけて課税の対象とされることがある。

1 脱税との相違
 脱税は、課税要件の充足という事実を隠匿する行為であり、不法に税の負担を逃れることである。一方租税回避は、課税要件の充足それ自体を回避するものであり、形式的にはあくまで合法な行為である。よって両者は、税法の規定に違反しているか否かによって峻別される。もっとも、法形式の回避を装っていても、実際は事実の隠匿であることもしばしばあり(隠匿された課税要件該当事実が認定されることを、しばしば、事実認定レベルにおける否認という。)、注意を要する。また、私法上の性質決定の基準がはっきりしないことの影響で、事実の隠匿か法形式の回避かの区別はしばしば困難を伴い、国税当局との紛争に発展することもある。

2 節税との相違
 節税とは、税法の規定の想定する範囲内において取引を行うことで、課税額の低減を図る行為である。一方租税回避とは、想定の範囲を超えた異常な法形式を採る点において、節税と異なる。ただし、両者には明確な差異はなく、社会通念により区別されるにとどまる。

3 租税裁定行為との関係
 ある取引を行うにあたって、同一又は類似の経済的意義を有する方法がいくつか考えられる場合に、当事者からすればあえて税負担の重い取引を行う理由はないから、通常は、税負担の軽い方法が模索され、選択されることになる。これを、租税裁定行為という。租税裁定行為は、税法の想定する範囲内のものとそうでないものがあり、したがって、状況次第で節税に当たる場合と租税回避に当たる場合とがありうる。

4 実質課税の問題点
 租税回避は、あくまで形式的には合法な行為に属する。しかしながら、想定の範囲を超えた異常な法形式を用いていることから、租税法上その法形式を容認するか無視するかという問題が生ずる。
 租税回避に対し、実際に行なわれた法形式を租税法上は無視し、通常行なわれるべき法形式に対応する課税要件が満たされたものとすることを「租税回避行為の否認」という。ドイツ租税通則法第42条は「租税回避行為の否認」を認めた代表的な規定である。日本にはドイツ法のような総則的規定はないが、所得税法第157条のように個別の否認規定が設けられている。
 租税法上、個別に租税回避を否認する規定があれば、同規定に基づいて租税回避を否認することに問題はないが、租税回避を否認する規定がない場合の取り扱いについては議論が分かれている。否認を認めないとすると、租税回避行為者と通常の法形式によった者との間に不公平が生ずる。反面、租税回避を否認し課税を行なうとすると、租税法律主義に反する結果の招来という問題が生ずる。通説では、法律の根拠(総則ないし個別の否認規定)がない限り、租税回避行為の否認は認められないと考えられている。この通説の立場からは、租税回避に対応するためには、新たな租税回避の類型が現れるたび、個別の否認行為を迅速に立法する必要があるとの主張がなされている。
wikipedia より引用


自慢げに『合法』をうたった節税はときとしてこの『租税回避行為』の下に膝を屈することになるのです。

ただし、wikipediaの『4.実質課税の問題点』にも記載されている通り租税回避行為を課税するには税務当局側も結構理論的積み上げをする必要がありそうです。

ですから『間違いなく仕留められる』ように手間がかかっても法律を作って『戦いに勝ちやすい』アイテムを得てから行動を移したりします。

そのトリガー(きっかけ)は『派手にやってくれてるじゃねぇか』と、ある程度黙認されていた『寝た子』を起こすほどの『やりよう』かもしれません。

決して私は『この様なことはひっそりとやりましょうね』って奨励しているわけではありません。(笑)

現在の様に情報の伝播スピードが速くなってくると、そして『情報』を『商売のネタ』にすることが昔よりやりやすくなっている現代では『グレー』に手を出すのはリスクがあることを承知する必要がありそうです。

つまりは『君子危うきに近寄らず』の喩えを良く胸に抱き…。

え?「ビジネスは『虎穴に入らずんば虎児を得ず』だろう」って? 

※今回の記事はあくまでも私見を述べたに過ぎません。
税金の申告は自己判断にてお願いします。





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【購入翌年以降のキャッシュフロー 中古区分マンション編】 [不動産投資]


〔06〕
購入翌年以降のキャッシュフロー 中古区分マンション編

前回は中古区分マンション投資の購入初年度のキャッシュフローについて具体例を用いて説明しました。

【購入初年度のキャッシュフロー 中古区分マンション編】

今回は購入翌年以降のキャッシュフローがどうなるか…

更に具体例で説明したいと思います。

電卓と書類とペン

不動産投資の例(区分所有マンションの購入)

物件購入価額
1,000万円(内消費税 384,615円)

諸費用
670,384円(消費税込み)

 <諸費用内訳>
消費税抜き消費税消費税込み
仲介手数料348,461円17,423円365,884円
契約書印紙代5,000円
借入金契約書印紙代10,000円
借入金手数料100,000円5,000円105,000円
登録免許税90,000円
司法書士報酬90,000円4,500円94,500円

建物
築20年3ヶ月(RC造 中古区分マンション)

固定資産税評価額
〔建物〕640万円
〔土地〕160万円

自己資金:670,384円
借入金:1,000万円
金利:3%(変動金利)
返済期間:20年
返済方法:元利均等
返済金額:55,460円/月

修繕積立金:10,000円/月
管理費:5,000円/月

現入居者:残契約期間1年6ケ月 家賃8万円/月
賃貸管理手数料:家賃の5%+消費税

不動産取得税:10万円
固定資産税:50,000円/年
所得税率:20%(住民税率:10%)

2年目の追加条件

更新料入金:80,000円
更新手数料支払い:80,000円+消費税=84,000円


購入時に入居者がいましたが契約の残期間は1年6ヶ月でした。

2年目の途中で更新時期を迎えましたが無事契約更新ということで更新料を得られました。

更新手続きをする賃貸管理会社へは逆に更新手数料を支払います。

手数料には消費税がかかるのでキャッシュフローとしてはマイナスとなりました。

こんな状況でキャッシュフローはどうなっていくのでしょうか?


購入翌年の各キャッシュフロー項目の計算

今回はキャッシュインとキャッシュアウトを分けずにインならプラス、アウトなら▲で表してみます。
  1. 家賃収入:+960,000円
    80,000円×12ヶ月=960,000円

  2. 更新料収入:+80,000円

  3. マンション管理組合への支払い:▲180,000円
    「修繕積立金」+「建物管理費」 15,000円×12か月=180,000円

  4. 賃貸管理会社への支払い:▲134,400円
    賃貸管理手数料 4,200円×12ヶ月=50,400円
    更新手数料 84,000円

  5. 借入金の返済:▲665,520円
    55,460円×12ケ月=665,520円

    元利均等の借入金の場合は金利に変動がなければ元利合計額に変化はなく返済額は毎月一定です。従って前年と同額となります。

  6. 固定資産税の納税:▲50,000円

  7. 所得税:+37,532円

    所得税の確定申告は1月1日から12月31日の分を翌年の2月から3月の間に申告します。
    確定申告により納税額が確定したら、3月15日までに納税することになります。
    従って不動産投資によって発生した所得にかかる所得税は、翌年のキャッシュフローに影響することになります。
    それでは今回の例で所得税はどの様になるのでしょうか?

    こちらをご確認下さい
    【サラリーマンの不動産所得と税金計算(中古区分マンション・初年度編)】

    今回の例では所得は、▲187,663円とマイナスとなりました。

    この様に不動産所得がマイナスになりますと給与で支払った所得税から引くことができますので結果として『還付』が受けられます。
    所得は個人には依存しませんが、所得税は個人に依存します。
    所得税は2つのルールがあります。

    ※1『損益通算』の決まりによって不動産所得と給与所得は合算してから税率を掛ける

    ※2『累進課税』なので税率は損益通算で合算した所得の大小によって決まる

    つまり、給与所得の大小によって税率は決まりますので、人によって適用される税率が異なり結果として不動産所得によって発生する所得税は人によって異なることになります。

    今回の例では税率は20%としていますので、不動産所得により還付される税額は…

    ▲187,663円×20%=▲37,532円

    となります。

    還付金は確定申告してから1ヶ月から1ヶ月半くらいで振り込まれてきます。

    ※1
    損益通算の決まりは、損益通算すべき所得と損益通算できな所得があります。
    給与所得以外の所得がある場合には当てはまらない場合もあります。

    ※2
    税率は合算後で決まります。給与所得のみのケースでは税率が20%でも不動産所得が増加したために税率が1段階上がって異なる税率が適用される場合もあります。

  8. 住民税:+18,766円
    住民税は所得税の確定申告で計算された所得に税率を掛けて計算されます。
    住民税の税率は所得税と異なり所得の大小にかかわらず10%です。
    従って還付される税金は…

    ▲187,663円×10%=▲18,766円

    となります。※3

    ※3
    実際には住民税は、前年の所得により翌年の住民税が決定する仕組みです。
    ですから厳密に言うと今回のケースでは『還付』ではなく『翌年の納税額の減少に寄与した』と言う方が適切かもしれません。
    説明の簡素化のため、あえて『還付』という表現にしておりますのでご了承下さい。
    また住民税は翌年6月から翌々年5月まで1年間かけて毎月の給料から『特別徴収』されます。
    従って厳密には上記の『納税額の減少寄与分』は、翌年には以下のキャッシュフローが減少します。
    18,766円×(7ヶ月/12ヶ月)=10,947円


購入翌年の年間のキャッシュフロー(収支)

〔キャッシュインフロー〕-〔キャッシュアウトフロー〕=1,096,298円-1,029,920 円
=66,378円


この例では結論として初年度のキャッシュフローはプラス66,378円でした。

更に進めて3年目のキャッシュフローはどうなるでしょうか?

前提条件として、現在の入居者はそのまま同条件で入居し続けて頂いてその他の条件にも変更がないものとします。

つまり金利も変更なく固定資産税に増減もなくマンションの管理費や修繕積立金、管理手数料にも変更が無かったとします。

そうするとキャッシュフローは2年目と同一となるのでしょうか?

いえ、そうはなりません。

『所得税』と『住民税』は異なってきます。

2年目のキャッシュフローにおいて『所得税』と『住民税』は初年度の『所得』により決まりました。

そして初年度は『購入時の諸経費』や『不動産所得税』という、非経常項目の『経費』が発生していたので所得減少要因がありましたが、2年目の所得計算には関わらなくなるため所得は増加します。

また借入金の返済額に含まれる『支払利息』は年々減少していきます。

返済額のうち、経費として認められるのは、支払利息部分だけですので、ほっておいても所得は増加傾向を示します。

従って3年目の納税額は2年目より増加します。還付金があるケースでも還付が納税に逆転したり還付金が減少したりということでキャッシュフローは初年度よりも確実に減少します。

3年目以降のキャッシュフローが具体的にどんな風になるのかを検証してみましょう。


購入3年目の各キャッシュフロー項目の計算

キャッシュインならプラス、キャッシュアウトなら▲で表します。
  1. 家賃収入:+960,000円
    80,000円×12ヶ月=960,000円

  2. マンション管理組合への支払い:▲180,000円
    「修繕積立金」+「建物管理費」15,000円×12か月=180,000円

  3. 賃貸管理会社への支払い:▲50,400円
    賃貸管理手数料 4,200円×12ヶ月=50,400円

  4. 借入金の返済:▲665,520円

  5. 固定資産税の納税:▲50,000円

  6. 所得税:▲821円

    こちらをご確認下さい
    【サラリーマンの不動産所得と税金計算(中古区分マンション・次年度以降編)】

    今回は還付ではなく納税となりました。

  7. 住民税:▲410円

    所得税の給与天引きのことを『源泉徴収』といいますが、住民税の場合は『特別徴収』といいます。
    給与所得にかかる住民税は『特別徴収』により納税することを原則としていますが他の所得にかかる住民税は納税方法を納税者が任意に決めることができます。
    自分で納税することを『普通徴収』といいます。
    どちらの納税方式でも損得はありませんが、2点の大きな違いがあります。
    ①特別徴収は、給与天引きを利用した12ヶ月の分割払いです。
    従って大した違いではないかもしれませんがキャッシュフロー的には特別徴収が有利です。
    ②不動産所得により給与収入のみよりも特別徴収額が増加する場合には、特別徴収事務を行う『勤務先』にその情報が市町村から伝達されます。
    従って不動産投資を行っていること(それがどの程度儲かっているのか)を勤務先に知られたくない人は所得税の確定申告時に『普通徴収』を選択した方が良いです。
    ちなみに所得がマイナスで住民税が減額されるケースでは住民税には『還付』という考え方はないので必ず会社に通知されますので注意が必要です。


購入3年目の年間のキャッシュフロー(収支)

〔キャッシュインフロー〕-〔キャッシュアウトフロー〕=960,000円-947,151 円
=12,849円


3年目はかろうじてキャッシュはプラスになりました。

そして変動項目、例えば家賃が変更にならない、退去が無い、専有部分の修繕が無い、固定資産税も変動が無い、税法の改正が無い、給与所得の急激な増減が無い、など諸条件に変動がなければこのキャッシュフローで年々変動するのは所得税と住民税の部分だけです。

先述の通り、変動要素は借入金の支払利息が少しづつ減少することによる、若干の所得増加、所得税・住民税増加によるキャッシュフローの減少です。

従って、このキャッシュフローが基本的に『年間のキャッシュフローの最大値』と言えるでしょう。

利回り9.6%の物件を諸費用を除き全額借入金(金利3%20年返済)で賄って購入した場合のキャッシュフローの一例です。


キャッシュフローはこの様に計算しなくても不動産投資に関わるお金を一つの預金口座で管理すれば簡単に計算できます。

その年の12月31日の残高から1月1日の差し引けばいいだけです。

とても簡単です。

但し、これも未知数になっている人もいるようですが…。

不動産から「あがった」お金を生活費に回したりクルマを買っちゃったりすれば…


ただキャッシュフローは金額の増減だけ見ても良しあしを判断できない場合もあります。

その源泉をきちんと把握していれば大きなメリットがあります。

そのメリットとは、『未来を予測』しやすくなるということです。

予想外の修繕をしなければならなくなったり、空室が予想以上に続いてしまったり、予想しえない資金の増減はあるかもしれませんが、通常の企業経営につきものの『資金繰り』と比較すればはるかに単純です。

特に個人で不動産経営をしているうちは企業でもっともやっかいな『人件費』は発生しません。

輸入品を購入することもないので為替の影響も受けませんし、家賃の相場に変動があるといってもそれほど急激でありませんし、販売品目のトレンドなどから生じる『売上の変動』も検討の余地がありません。

ですから『結果』だけではなく、この様な『キャッシュフロー』の『構造』を理解していれば、かなり予測することが容易です。

変動要素に関して自分なりの予測、例えば『ベストな予測』と『最悪な予測』をしていれば、ある一定の範囲の枠内での予測は比較的簡単かと思います。

もちろん、火災が起こったり天変地異が起こって事業継続に大きな支障をきたすなどの予測までは盛り込めませんが…

次回以降では、キャッシュフローの項目別の動向を理解した上で、どの様にその数字を活かしていくのかなどを検討したいと思います。

この記事は2013年5月16日現在の法律等に基づいて書かれていますが、各自の計算についてなんら保証するものではありません。
実際に計算する場合には税務署、税理士などの専門家へご確認の上計算をお願いします。
  <(_ _)>

次の記事はコチラ

〔07〕
サラリーマンの不動産所得と税金計算 中古区分マンション・初年度編

サラリーマンが不動産投資をした場合の不動産所得とその税金について中古区分マンションを購入したケースで考えてみましょう。

ワンルームマンション投資のキャッシュフロー

不動産投資で重要な『指標』であるキャッシュフロー。
不動産投資は事業性が強い投資です。
このことに着目して区分所有マンションのキャッシュフローを題材にして『どの様に』実績や予測をしていくのかを解説します。
電卓と書類とペン

マンション投資の儲けとは一体どのように計算されるのでしょう…
投資指南本では、ほとんどが「キャッシュフロー」が呪文のように繰り返されます。
支払い側、キャッシュアウトフローの忘れてならない重要な点として「購入時のキャッシュアウトフロー」が挙げられます。
不動産投資もインカムゲインを重視した投資と考えると株式投資よりもはるかに事業性、事業運営の要素が強いということだと思います。その場合、重要なポイントが「キャッシュフロー」ということになるかと思います。
中古区分マンションの購入を例にとり、購入後のキャッシュフローについて検証してみました。
今回はその『不動産投資の成否』という観点からキャッシュフローを考えてみたいと思います。
不動産投資の場合、月々とか年間とかのお金の流れを捉えます。例を挙げて考えてみましょう。
不動産投資で比較的「管理すべき数字」が単純な『区分所有マンション』の一室を購入した場合を例にとってみます。
今回は、翌年のキャッシュフローがどうなるか…、更に具体例で説明したいと思います。
サラリーマンが不動産投資をした場合の不動産所得とその税金について中古区分マンションを購入したケースで考えてみましょう。
前回はサラリーマンが不動産投資をした場合の初年度の不動産所得とその税金について、中古区分マンションを購入したケースで考えてみました。
今回は次年度以降について考えてみます。
中古区分マンションを購入した場合の取得価額を求めるのに購入代価を土地と建物に分ける必要があります。契約でそれぞれの代金が分けられている場合には問題ありませんが、代金が土地建物合算された場合には『按分する』必要があります。どうやってするのでしょうか?
「サラリーマンが不動産投資をした」という前提で個人の不動産所得計算に必要な減価償却費を計上するにあたってどうやって計算すればいいのかをお伝えします。





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【購入初年度のキャッシュフロー 中古区分マンション編】 [不動産投資]


〔05〕
購入初年度のキャッシュフロー 中古区分マンション編

キャッシュフローとは、お金の流れ…

不動産投資の場合、月々とか年間とかのお金の流れを捉えます。
電卓と書類とペン

例を挙げて考えてみましょう。

不動産投資で比較的「管理すべき数字」が単純な『区分所有マンション』の一室を購入した場合を例にとってみます。

不動産投資の例(区分所有マンションの購入)

物件購入価額
1,000万円(内消費税 384,615円)

諸費用
670,384円(消費税込み)

 <諸費用内訳>
消費税抜き消費税消費税込み
仲介手数料348,461円17,423円365,884円
契約書印紙代5,000円
借入金契約書印紙代10,000円
借入金手数料100,000円5,000円105,000円
登録免許税90,000円
司法書士報酬90,000円4,500円94,500円

建物
築20年3ヶ月(RC造 中古区分マンション)

固定資産税評価額
〔建物〕640万円
〔土地〕160万円

自己資金:670,384円
借入金:1,000万円
金利:3%(変動金利)
返済期間:20年
返済方法:元利均等
返済金額:55,460円/月

修繕積立金:10,000円/月
管理費:5,000円/月

現入居者:残契約期間1年6ケ月 家賃8万円/月
賃貸管理手数料:家賃の5%+消費税

不動産取得税:10万円
固定資産税:50,000円/年
所得税率:20%(住民税率:10%)

2年目の追加条件

更新料入金:80,000円
更新手数料支払い:80,000円+消費税=84,000円


こんな例で月々のキャッシュフローをまず考えてみましょう


月々のキャッシュインフロー(入ってくるお金)

キャッシュインは基本的に家賃収入のみです。

入居時には敷金や礼金などもあるかもしれませんが、今回は既に入居済の物件を購入したという設定で家賃収入のみが収入となります。

〔キャッシュインフロー〕=80,000円


月々のキャッシュアウトフロー(出ていくお金)

それでは月々出ていくお金についてみてみましょう。

  1. マンション管理組合への支払い

    「修繕積立金」+「建物管理費」
    10,000円+5,000円=15,000円

  2. 賃貸管理会社への支払い

    「家賃の5%」+消費税
    80,000円×5%=4,000円
    4,000円×5%=200円
    「賃貸管理手数料(税込)」
    4,200円

  3. 借入金の返済

    55,460円

〔キャッシュアウトフロー〕
=〔合計〕74,660円



月々のキャッシュフロー(収支)

〔キャッシュインフロー〕-〔キャッシュアウトフロー〕=
80,000円-74,660円=5,340円



『自己資金670,384円、借入金1,000万円で始めたこのマンション投資は、月々5,340円のキャッシュフローをもたらしてくれる』

この金額が多いのか、少ないのかは、別として、こういう計算になります。

ただし、この月々のキャッシュフローは次の2点に注意する必要があります。
  1. 年間のキャッシュフローは『月々のキャッシュフロー×12か月』とはならない

  2. この月々のキャッシュフローは開始当初の状況を示しているに過ぎない


年間のキャッシュフローを計算してみる

それでは年間のキャッシュフローはどんな感じになるのでしょうか?

今回の例では、できるだけ計算が単純になるように、1月1日にマンションを購入したということにしましょう。

実際には不動産屋さんも借入先の銀行も登記を行う法務局も1月1日に営業していないと思われますので、1月1日が所有権移転の日というのは考えづらいですが、あくまでも例として考えて下さい。

また家賃は通常『前家賃』で入金しますが、便宜上、一旦管理会社に前月末日に入金し、その翌月に管理会社から『大家』である投資家に家賃が振り込まれることにします。

そうすると結果的には『当月の家賃は当月に入金する』形になります。


年間のキャッシュインフロー

〔キャッシュインフロー〕
=家賃収入×12か月
=80,000円×12=960,000円



年間のキャッシュアウトフロー

年間の支出を考える時には月々のみならず1年に1度しか発生しない支出にも目を向けます。

『定常支出』を計算する

  1. マンション管理組合への支払い

    「修繕積立金」+「建物管理費」
    15,000円×12ヶ月=180,000円

  2. 賃貸管理会社への支払い

    「賃貸管理手数料(税込)」
    =4,200円×12ヶ月
    50,400円

  3. 借入金の返済

    55,460円×12ケ月=665,520円

    元利均等の借入金の場合は、金利に変動がなければ元利合計額に変化はなく返済額は毎月一定です。

『年間支出』を計算する

  1. 固定資産税の納税
    固定資産税は毎年5月に納税通知がきます。通常は4期に分けて支払いますが話を単純化するために1年分の固定資産税を初年度中に一括納税したことにします。ちなみに不動産の固定資産税は1月1日現在の所有者に対して課税される地方税です。その納税額は土地と建物の固定資産税評価額によって決まることになります。

    50,000円

  2. 不動産取得税の納税
    不動産取得税は、不動産を取得した際にかかる税金です。所有権移転から概ね3~4ヶ月後に支払うこととなります。

    100,000円

〔キャッシュアウトフロー〕
=〔合計〕1,045,920 円



年間のキャッシュフロー(収支)

〔キャッシュインフロー〕-〔キャッシュアウトフロー〕=
960,000円-1,045,920円=▲85,920円



購入時の支出を含めて初めて初年度のキャッシュフローが計算できる

この例では結論として初年度のキャッシュはマイナスでした。

その金額は家賃の約1ヶ月分という結果になりました。

このマイナスの原因は、『非経常的支出』である『不動産取得税』の納税があったためです。

では初年度1年間の資金の動きは『85,920円の資金流出』ということになるのでしょか?

そうではありませんよね。

不動産購入時諸費用 670,384円ほど支払っています。

スタート時点で▲670,384円という状況です。

これに『購入後』のキャッシュフローを合算することにより初年度1年間の資金の動きが把握できるわけです。

〔初年度のキャッシュフロー〕=
▲670,384円+▲85,920円=▲756,304円


となります。

1月1日から12月31日までの間に『756,304円のお金が減った』ということになります。


2年目のキャッシュフローにおける重要な要素

では2年目以降はどうなるのでしょうか?

『非経常的支出』の『不動産取得税』を除いたキャッシュの動きを追えば良いのでしょうか?

いえ、2年目以降は『所得税』『住民税』という税金が大きくかかわってきます。

これを見過ごすと痛い目に遭う…、先人の教訓です。


ちなみに不動産投資の話では頻繁に『利回り』という言葉がその投資の良しあしの判断指標として登場します。

今回のケースでは購入年度の想定利回りは以下の様に表現されます。

『表面利回り』=『年間(想定)家賃収入』/『投資不動産購入価額』
=(80,000円×12ヶ月)/1,000万円=960,000円/10,000,000円
9.6%

『実質利回り』=(『年間家賃収入』-『経常経費支出』)/(『投資不動産購入価額』+『購入時諸費用』)
=(960,000円-(180,000円+50,400円))/(10,000,000円+670,384円)
=729,600円/10,670,384円
6.8%

実質利回りの支出として固定資産税も含めるケースがあったり、購入諸費用を含めずに購入価額だけで割り算するケースもあるようですが、いずれにしても表面利回りに比べると実質利回りはだいぶ見劣りする数値になります。

売り出しの広告などで表示される『利回り』とは『表面利回り』のことを指すのが一般的です。

実際にいくらのキャッシュをもたらすのかは、表面利回りだけでは計算することはできません。

同じ表面利回りでも…

修繕積立金や建物管理費等の『支出』が少額のマンションと高額なマンションでは手元に残るお金は違ってくるからです。

次回は、税金もかかわってくる次年度以降のキャッシュフローの動きを見ることにしましょう。

この記事は2013年5月16日現在の法律等に基づいて書かれていますが、各自の計算についてなんら保証するものではありません。
実際に計算する場合には税務署、税理士などの専門家へご確認の上計算をお願いします。
  <(_ _)>

次の記事はコチラ

〔06〕
購入翌年以降のキャッシュフロー 中古区分マンション編

今回は、翌年のキャッシュフローがどうなるか…、更に具体例で説明したいと思います。

ワンルームマンション投資のキャッシュフロー

不動産投資で重要な『指標』であるキャッシュフロー。
不動産投資は事業性が強い投資です。
このことに着目して区分所有マンションのキャッシュフローを題材にして『どの様に』実績や予測をしていくのかを解説します。
電卓と書類とペン

マンション投資の儲けとは一体どのように計算されるのでしょう…
投資指南本では、ほとんどが「キャッシュフロー」が呪文のように繰り返されます。
支払い側、キャッシュアウトフローの忘れてならない重要な点として「購入時のキャッシュアウトフロー」が挙げられます。
不動産投資もインカムゲインを重視した投資と考えると株式投資よりもはるかに事業性、事業運営の要素が強いということだと思います。その場合、重要なポイントが「キャッシュフロー」ということになるかと思います。
中古区分マンションの購入を例にとり、購入後のキャッシュフローについて検証してみました。
今回はその『不動産投資の成否』という観点からキャッシュフローを考えてみたいと思います。
不動産投資の場合、月々とか年間とかのお金の流れを捉えます。例を挙げて考えてみましょう。
不動産投資で比較的「管理すべき数字」が単純な『区分所有マンション』の一室を購入した場合を例にとってみます。
今回は、翌年のキャッシュフローがどうなるか…、更に具体例で説明したいと思います。
サラリーマンが不動産投資をした場合の不動産所得とその税金について中古区分マンションを購入したケースで考えてみましょう。
前回はサラリーマンが不動産投資をした場合の初年度の不動産所得とその税金について、中古区分マンションを購入したケースで考えてみました。
今回は次年度以降について考えてみます。
中古区分マンションを購入した場合の取得価額を求めるのに購入代価を土地と建物に分ける必要があります。契約でそれぞれの代金が分けられている場合には問題ありませんが、代金が土地建物合算された場合には『按分する』必要があります。どうやってするのでしょうか?
「サラリーマンが不動産投資をした」という前提で個人の不動産所得計算に必要な減価償却費を計上するにあたってどうやって計算すればいいのかをお伝えします。





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【サラリーマンの不動産所得と税金計算(中古区分マンション・次年度以降編)】 [不動産投資]


〔08〕
サラリーマンの不動産所得と税金計算(中古区分マンション・次年度以降編)

前回はサラリーマンが不動産投資をした場合の初年度の不動産所得とその税金について中古区分マンションを購入したケースで考えてみました。

今回は次年度以降について考えてみます。

【サラリーマンの不動産所得と税金計算(中古区分マンション・初年度編)】

電卓と書類とペン


不動産投資の例(区分所有マンションの購入)

物件購入価額
1,000万円(内消費税 384,615円)

諸費用
670,384円(消費税込み)

 <諸費用内訳>
消費税抜き消費税消費税込み
仲介手数料348,461円17,423円365,884円
契約書印紙代5,000円
借入金契約書印紙代10,000円
借入金手数料100,000円5,000円105,000円
登録免許税90,000円
司法書士報酬90,000円4,500円94,500円

建物
築20年3ヶ月(RC造 中古区分マンション)

固定資産税評価額
〔建物〕640万円
〔土地〕160万円

自己資金:670,384円
借入金:1,000万円
金利:3%(変動金利)
返済期間:20年
返済方法:元利均等
返済金額:55,460円/月

修繕積立金:10,000円/月
管理費:5,000円/月

現入居者:残契約期間1年6ケ月 家賃8万円/月
賃貸管理手数料:家賃の5%+消費税

不動産取得税:10万円
固定資産税:50,000円/年
所得税率:20%(住民税率:10%)

2年目の追加条件

更新料入金:80,000円
更新手数料支払い:80,000円+消費税=84,000円


購入時に入居者がいましたが契約は1年6ヶ月でした。

2年目の途中で更新時期を迎えましたが無事契約更新ということで更新料を得られました。

更新手続きをする賃貸管理会社へは逆に更新手数料を支払います。

手数料には消費税がかかるのでキャッシュフローとしてはマイナスとなりました。


『収入』を計算する

収入は基本的に家賃収入のみです。

今回は契約の更新があったので月々の家賃収入とは別に更新料の入金8万円が追加されます。

〔収入〕=80,000円×12か月+80.000円=1,040,000円


『必要経費』を計算する

経費には毎月発生する『定常経費』、年単位で毎年発生する『年間経費』、そして臨時的に発生する『臨時経費』があります。

『定常経費』を計算する

  1. マンション管理組合への支払い「修繕積立金」と「建物管理費」

    「修繕積立金」+「建物管理費」=10,000円+5,000円=15,000円/月
    15,000円×12か月=180,000円/年間

  2. 賃貸管理手数料

    「家賃の5%」=80,000円×5%=4,000円
    「消費税」=4,000円×5%=200円
    「賃貸手数料(税込)」 4,200円/月
    4,200円×12か月=50,400円/年間
    「更新手数料(税込)」 84,000円
    賃貸管理手数料合計=134,400円

  3. 支払利息

    「借入金返済のなかの支払利息」
    283,660円/年間

  4. 減価償却費
    今回の例での減価償却計算はこちらを参照して下さい。
    【中古区分投資マンションの減価償却計算】

    今回の物件の2年目の減価償却費は287,831円となります。

『年間経費』を計算する

  1. 固定資産税
    「固定資産税」 50,000円/年間

『必要経費』を合計する

  • 〔修繕積立金+建物管理費〕 180,000円
  • 〔賃貸管理手数料〕 50,400円
  • 〔賃貸管理手数料〕 84,000円
  • 〔支払利息〕 283,660円
  • 〔減価償却費〕 287,831円
  • 〔固定資産税〕 50,000円
  •    合計 935,891円


『不動産所得』を計算する

〔収入〕-〔必要経費〕=1,040,000円-935,891円=104,109円

所得はプラスになりました。

なお不動産所得に関して青色申告する場合には、『青色申告特別控除』という特典があります。

所得から10万円控除が可能です。

上記の104,109円は厳密には『青色申告特別控除前所得』と言われ、ここから10万円を控除した金額が所得税の課税される所得(課税所得)となります。

104,109円‐100,000円=4,109円

この金額が不動産所得となります。


『不動産所得の税額』を計算する

  • 所得税
    4,109円×20%=821円

  • 住民税
    4,109円×10%=410円

  • 合計
    821円+410円=1,231円
※端数処理は無視します

多少の納税額は発生しますが『青色申告特別控除』のお蔭でほとんど税金は発生しません。


購入3年目以降の不動産所得の変動要素

3年目以降で変動要素はどんな感じでしょうか…

(1)家賃収入

退去により急に家賃収入が途絶えることもあります。

上の例で言いますと…

前月まで8万円の家賃収入があったのが、ゼロになります。

すぐに次の入居者が決まり家賃が入ってくれば、一時的な収入減で済みますが、長期間にわたり入居が決まらなければその間はずっと収入ゼロの状態が続きます。

また入居を早期に決めるため家賃を下げて募集するケースもあります。

その場合には仮に入居者が決まっても月々の収入が減額となります。

逆に当初の家賃設定が低すぎた場合に家賃を上げて入居者が決まった様なケースでは月々の家賃が増加します。

しかし最近の競争が激しい賃貸住宅の状況ではリノベーション等の積極的な家賃増加策を施すようなことをしなければ家賃が増加することは稀かもしれません。

(2)修繕積立金・建物管理費

基本的には一定ですが、マンションの管理組合で変更の決議がなされて金額変更するケースもあります。

特に最近、修繕積立金の積み立て不足で修繕不能に陥る老朽化マンションも取り沙汰されており行政は積み立て不足解消をするように働きかけています。

実際、積立金は安いけど修繕の必要に迫られて修繕協力金として一時金を要求され予想外の出費に困ってしまうケースもあるようです。

私はマンション管理組合の理事になって理事会にも出席しています。

【投資マンションの管理組合 理事会に初出席してみた】

現在、修繕積立金・管理費の改訂が議題にあがっております。

管理費が余剰となっているので管理費の一部を修繕積立金に変更するという点については賛成なのですが、同時に積立金を増額する議案も上がっているので反対することにしています。

積立金残高が多すぎるとは思いませんが、大規模修繕を最近行ったばかりでそこそこ積立金も積み立てられているなかで、これ以上月々の支出を増やしてまで積み立てする必要性を感じないからです。

(3)賃貸管理手数料

賃貸管理手数料は家賃の一定率(5%)という例にしていますが、定額性のところもあります。

管理会社から増額の要請の可能性が無いわけではありませんが管理会社の選択の余地があり競合を意識しているので、そう簡単には値上げということはないでしょう。

一定率の場合、家賃が減額すれば手数料も下がりますので増額の可能性は低い項目と言えるでしょう。

(4)支払利息

元利均等払いの場合には返済が進むにつれて返済額に占める元金の割合が高くなっていきます。

元金1,000万円 金利3.00% 元利均等返済

という条件の融資でしたら金利の変動が無い場合には支払利息の金額の推移は下の表に示す通りです。
ローン支払利息の推移

金利が固定で繰り上げ返済などもしなければ年間で1万円程度づつ減額していきます。

今回の例では変動金利を採用していますので金利次第では支払利息の上昇もあるかもしれません。

(5)減価償却費

定額法による減価償却費は毎年一定です。

耐用年数の期間は一定で購入後耐用年数を経過した年からゼロとなります。

この例では30年間一定となります。

(6)固定資産税

固定資産税の計算の基礎となるのが『固定資産税評価額』ですが、3年に1回見直されるのが普通です。

従って購入してからずっと同じと言うわけではありません。

土地の場合は相場の上がり下がりが影響し、建物については老朽化に伴う減価が加味されて決まります。


将来の変動要素を正確に見極めるのは難しい、でもできることはある

こんな風に購入時の状態がずっと維持されるわけではないので将来の不動産所得を予測するのは、あくまでも『見込み』となります。

キャッシュフローの場合には満室の現行家賃での運用が『最大』の状態と言えますが、所得の場合には利息が減少するなどのことからキャッシュフローが増えなくても段々と増えていく要素を含んでいます。

区分所有マンションではその割合は大きくありませんが、規模が大きい不動産投資の場合には、お金の『実入り』は増えていないのに税金計算上の『もうけ』が増えて結果的に納税額が上昇して結果としてキャッシュフローが悪化するということもあります。

不動産投資においては税金の予測も大切なキャッシュフロー予測に必要なアイテムとなるわけです。

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実際に計算する場合には税務署、税理士などの専門家へご確認の上計算をお願いします。
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〔09〕
中古区分投資マンションの購入代価を土地と建物に按分する

中古区分マンションを購入した場合の取得価額を求めるのに購入代価を土地と建物に分ける必要があります。

ワンルームマンション投資のキャッシュフロー

不動産投資で重要な『指標』であるキャッシュフロー。
不動産投資は事業性が強い投資です。
このことに着目して区分所有マンションのキャッシュフローを題材にして『どの様に』実績や予測をしていくのかを解説します。
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不動産投資もインカムゲインを重視した投資と考えると株式投資よりもはるかに事業性、事業運営の要素が強いということだと思います。その場合、重要なポイントが「キャッシュフロー」ということになるかと思います。
中古区分マンションの購入を例にとり、購入後のキャッシュフローについて検証してみました。
今回はその『不動産投資の成否』という観点からキャッシュフローを考えてみたいと思います。
不動産投資の場合、月々とか年間とかのお金の流れを捉えます。例を挙げて考えてみましょう。
不動産投資で比較的「管理すべき数字」が単純な『区分所有マンション』の一室を購入した場合を例にとってみます。
今回は、翌年のキャッシュフローがどうなるか…、更に具体例で説明したいと思います。
サラリーマンが不動産投資をした場合の不動産所得とその税金について中古区分マンションを購入したケースで考えてみましょう。
前回はサラリーマンが不動産投資をした場合の初年度の不動産所得とその税金について、中古区分マンションを購入したケースで考えてみました。
今回は次年度以降について考えてみます。
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〔07〕
サラリーマンの不動産所得と税金計算(中古区分マンション・初年度編)

サラリーマンが不動産投資をした場合の不動産所得とその税金について中古区分マンションを購入したケースで考えてみましょう。

電卓と書類とペン

不動産投資の例(区分所有マンションの購入)

物件購入価額
1,000万円(内消費税 384,615円)

諸費用
670,384円(消費税込み)

 <諸費用内訳>
消費税抜き消費税消費税込み
仲介手数料348,461円17,423円365,884円
契約書印紙代5,000円
借入金契約書印紙代10,000円
借入金手数料100,000円5,000円105,000円
登録免許税90,000円
司法書士報酬90,000円4,500円94,500円

建物
築20年3ヶ月(RC造 中古区分マンション)

固定資産税評価額
〔建物〕640万円
〔土地〕160万円

自己資金:670,384円
借入金:1,000万円
金利:3%(変動金利)
返済期間:20年
返済方法:元利均等
返済金額:55,460円/月

修繕積立金:10,000円/月
管理費:5,000円/月

現入居者:残契約期間1年6ケ月 家賃8万円/月
賃貸管理手数料:家賃の5%+消費税

不動産取得税:10万円
固定資産税:50,000円/年
所得税率:20%(住民税率:10%)


こんな例で年間の所得を計算してみましょう。

個人の所得税は1年間は暦に合わせています。

会計期間は毎年1月1日~12月31日の1年間となります。

マンション購入初年度の所得を計算しますが、計算を簡単にするために1月1日にこのマンションを購入したとして、1年間の所得を計算してみます。

(実際には元旦に不動産取引と言うのはありえないと思いますが…)


『収入』を計算する

収入は基本的に家賃収入のみです。

入居時に礼金などの収入もあるかもしれませんが、今回は既に入居済の物件を購入したという設定で家賃収入のみが収入となります。

〔収入〕=80,000円×12か月=960,000円


『必要経費』を計算する

経費には毎月発生する『定常経費』、年単位で毎年発生する『年間経費』、そして臨時的に発生する『臨時経費』があります。

『定常経費』を計算する

  1. マンション管理組合への支払い「修繕積立金」と「建物管理費」
    マンション管理組合への支出は「修繕積立金」と「建物管理費」です。
    これらは家賃収入の有無にかかわらず「所有」していれば必ず支払います。
    修繕積立金はその名称が「積立金」で管理組合にとっては修繕が発生するまでプールしておく「積立金」ですが、大家さんにとっては「一旦支払っておくもの」ではなく戻ってこない支出ですから支出時に「必要経費」として処理します。

    「修繕積立金」+「建物管理費」=10,000円+5,000円=15,000円/月
    15,000円×12か月=180,000円/年間

  2. 賃貸管理手数料
    賃貸管理会社へ委託する賃貸管理は大家さんの任意で契約するものです。
    すべて自分で管理するから委託する必要がないと思えば発生しないのが賃貸管理手数料です。
    またマンション管理組合に対して支払う『管理費』と違って家賃が発生(賃貸の管理が発生)しなければ支払う必要がありません。

    「家賃の5%」=80,000円×5%=4,000円
    「消費税」=4,000円×5%=200円
    「賃貸手数料(税込)」 4,200円/月
    4,200円×12か月=50,400円/年間

  3. 支払利息
    『元利均等返済』における毎月の借入金の返済額は毎月一定の55,460円です。
    しかし、この金額の構成は毎月変動しています。
    利息の計算は返済されていない元金の残高に利率を乗じて計算されますから毎月の利息支払額は減少していきます。
    従って返済明細などを見ながら返済額に占める『支払利息』を確認する必要があります。
    ちなみに今回の例では初年度の12回分の返済は、294,932円になります。

    「借入金返済のなかの支払利息」
    294,932円/年間

  4. 減価償却費
    減価償却とは建物の様に支出した時に一時に必要経費にできないもの、『固定資産』を少しづつ経費化する会計上の手続きをいいます。
    283,660円 今回の例での減価償却計算はこちらを参照して下さい。
    【中古区分投資マンションの減価償却計算】

    今回の物件の初年度の減価償却費は287,831円となります。

    「減価償却費」 287,831円/年間

『年間経費』を計算する

  1. 固定資産税
    固定資産税は不動産を持っていれば必ず国に徴収されます。
    そのため大家さんも国から不動産の賃貸料を払って借りた不動産を賃借人に『転貸』しているとも言えるかもしれません。
    しかも不動産を所有していれば入居があろうがなかろうが支払わなくてはならないので管理組合に支払う費用とともに完全な『固定費』です。
    実際には固定資産税と都市計画税のふたつからなりますので、『固都税』などと言われます。

    「固定資産税」 50,000円/年間

『臨時経費』を計算する

  1. 購入時諸費用
    購入時諸費用も不動産取得税同様に不動産を取得した時だけに発生する臨時経費です。
    購入時諸費用はその性質によって経費とできるものと固定資産の『取得価額』としなければならないものがあります。
    詳しくは減価償却の項目を参照して下さい。
    【中古区分投資マンションの減価償却計算】

    「登録免許税」+「司法書士報酬」
    90,000円+94,500円 =184,500円

  2. 不動産取得税
    不動産取得税は不動産を取得したときにかかる税金です。
    所有権移転登記をしてから概ね4~5か月後に納付時期を迎えます。
    そのため不動産を購入した時期によって購入年度の経費になる場合と翌年度になる場合があります。
    今回は1月1日に購入としましたので初年度の経費として発生します。

    「不動産取得税」 100,000円

『必要経費』を合計する

  • 〔修繕積立金+建物管理費〕 180,000円
  • 〔賃貸管理手数料〕 50,400円
  • 〔支払利息〕 294,932円
  • 〔減価償却費〕 287,831円
  • 〔固定資産税〕 50,000円
  • 〔購入時諸費用〕 184,500円
  • 〔不動産取得税〕 100,00円
  •    合計 1,147,663円


『不動産所得』を計算する

不動産所得は収入から必要経費を差し引くことで計算します。

〔収入〕-〔必要経費〕=960,000円-1,147,663円=▲187,663円

⇒(参考)青色申告決算書(不動産所得用)の書き方

所得がマイナスになりました。そうするとどうなるのでしょうか?


『不動産所得の税額』を計算する

不動産所得は給与所得と『損益通算』が可能です。

従いまして給与で支払っている所得税や住民税から控除可能です。

所得税の確定申告における所得税の年税額は給与所得と不動産所得を一旦合計した所得の合計に税率を掛け算して計算します。

この年間の税額と年末調整で最終的に支払った年間の給与所得に対する所得税と比較します。

給与からの天引きにより支払った税額の方が少なければ追加で納税しますし多かったら還付が受けられます。

今回のケースでは所得税率20%のサラリーマンを想定しています。

不動産所得に税率20%を掛け算して不動産所得に対する所得税を計算します。

▲187,663円×20%=▲37,532円

実際には税金計算では端数処理がされますが給与所得の金額によってどう端数処理するかわかりませんのでそのままの金額で認識しておきます。

住民税は税率が一律10%です。

▲187,663円×10%=▲18,766円

所得税・住民税合計では56,298円の還付となりますが、住民税は前年度の確定申告に基づいて決定されるので実際には住民税は還付ではなく翌年の住民税が減額となります。


不動産所得の住民税に関する注意点

ちなみにサラリーマンが還付を受けるケースではこの住民税に関して注意が必要です。

会社が住民税を給与から天引きする際には市役所から勤務先の会社に通知が来ます。

不動産所得など給与所得以外の所得により住民税が変動する場合その金額も一緒に通知されます。

増額つまり不動産所得がプラスになるために住民税が増加する場合には所得税の確定申告書に『特別徴収に含めない』旨の記載して自分で別途納税することにより会社への通知は対象外になりますが減額になる場合には必ず会社に通知されます。(別途還付という方式がないためです)

不動産投資を会社に内緒にしたい人は所得がマイナスになる場合には注意が必要です。



さて1年目は不動産所得税や購入時諸費用などの臨時費用が発生したために所得はマイナスでした。

そのために税金も還付と言う結果になりました。

さて2年目以降はどのようになるでしょう…

次回、次年度以降の所得計算について見ていきます。

この記事は2013年5月16日現在の法律等に基づいて書かれていますが、各自の計算についてなんら保証するものではありません。
実際に計算する場合には税務署、税理士などの専門家へご確認の上計算をお願いします。
  <(_ _)>

次の記事はコチラ

〔08〕
サラリーマンの不動産所得と税金計算 中古区分マンション・次年度以降編

今回は次年度以降について考えてみます。

ワンルームマンション投資のキャッシュフロー

不動産投資で重要な『指標』であるキャッシュフロー。
不動産投資は事業性が強い投資です。
このことに着目して区分所有マンションのキャッシュフローを題材にして『どの様に』実績や予測をしていくのかを解説します。
電卓と書類とペン

マンション投資の儲けとは一体どのように計算されるのでしょう…
投資指南本では、ほとんどが「キャッシュフロー」が呪文のように繰り返されます。
支払い側、キャッシュアウトフローの忘れてならない重要な点として「購入時のキャッシュアウトフロー」が挙げられます。
不動産投資もインカムゲインを重視した投資と考えると株式投資よりもはるかに事業性、事業運営の要素が強いということだと思います。その場合、重要なポイントが「キャッシュフロー」ということになるかと思います。
中古区分マンションの購入を例にとり、購入後のキャッシュフローについて検証してみました。
今回はその『不動産投資の成否』という観点からキャッシュフローを考えてみたいと思います。
不動産投資の場合、月々とか年間とかのお金の流れを捉えます。例を挙げて考えてみましょう。
不動産投資で比較的「管理すべき数字」が単純な『区分所有マンション』の一室を購入した場合を例にとってみます。
今回は、翌年のキャッシュフローがどうなるか…、更に具体例で説明したいと思います。
サラリーマンが不動産投資をした場合の不動産所得とその税金について中古区分マンションを購入したケースで考えてみましょう。
前回はサラリーマンが不動産投資をした場合の初年度の不動産所得とその税金について、中古区分マンションを購入したケースで考えてみました。
今回は次年度以降について考えてみます。
中古区分マンションを購入した場合の取得価額を求めるのに購入代価を土地と建物に分ける必要があります。契約でそれぞれの代金が分けられている場合には問題ありませんが、代金が土地建物合算された場合には『按分する』必要があります。どうやってするのでしょうか?
「サラリーマンが不動産投資をした」という前提で個人の不動産所得計算に必要な減価償却費を計上するにあたってどうやって計算すればいいのかをお伝えします。





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◆ 首都圏に中古のワンルームマンションを購入して不動産投資の門を叩いた私。
やってみていろいろわかったことや活動の記録をお伝えします。

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