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【『ふるさと納税』の資金収支を解説 誰が何をいくら負担してるの?】 [暮らしのお金]

ブログ記事トップ画像_ふるさと納税盆踊り

『ふるさと納税』の資金収支を解説 誰が何をいくら負担してるの?
ふるさと納税制度は寄付金控除を使って所得税や住民税を減額してその分で寄付により居住地以外の自治体に少ない自己負担で寄付できる制度です。
しかしながらよく制度を調べてみると資金の収支は意外な構造になっている、とも言えます。

この記事の目次

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2019年1月6日追記
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高校授業料の無償化 共働きはどうなるの? 本当に子育て世代を助ける気があるのか?
公立高校授業料の無償化の所得制限「給与以外の収入はどうなるの?」
サラリーマンが所得税の計算過程を手っ取り早く知る方法は?
2019年(平成31年)版 高校授業料無償化の所得制限 いつの所得で判定されるの?
2019年(平成31年)版!我が家は高校授業料無償化を受けられる?高等学校就学支援金の所得制限ボーダーライン
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エクセルで手軽に判定!ふるさと納税で高等学校等就学支援金の所得制限回避の全手順を公開!
「ふるさと納税はいくらまで寄附できる?」をシミュレーションしてみた サラリーマン用無料エクセルテンプレートで便利に計算
「ふるさと納税ワンストップ特例」適用の住民税の控除限度額の計算方法
「ふるさと納税」税金控除限度額をエクセルテンプレートでシミュレーション(原則計算編)
「ふるさと納税」を理解する前に知っておきたい「寄附金控除の仕組み」を解説
図解で一目瞭然!サラリーマンにとっての「所得」の違い〔給与所得〕〔合計所得金額〕〔総所得金額〕〔総所得金額等〕〔課税所得〕
就学支援金所得制限やふるさと納税が気になる方は必見! 『市町村民税所得割額』自動計算エクセルテンプレート
≪年末調整 実践編≫テンプレートで昨年の年末調整をして答え合わせをしてみる
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これで安心!高校受験のサラリーマン世帯 『高等学校等就学支援金』確認ステップ
高校受験を控えた家庭が年末までに「ふるさと納税」を済ませておきたい理由とは?
「年末調整を5分で教えて!」というサラリーマンの方!ようこそ!

『ふるさと納税』制度の概要

まずはこの制度の概要をお伝えします

制度の仕組み

ふるさと納税を『ふるさと寄附金』という言葉で言われることがあるのは、納税先の変更を「寄附金控除」という税金計算上の仕組みを利用して行うことからです。

ブログ記事画像_ふるさと納税とは?

詳しくは下の過去記事にて概要や計算方法についてご説明していますので、ご参照下さい。

ブログ記事_トップ画像_ふるさと納税ポスター.jpg
12月になると駆け込み需要で盛り上がる『ふるさと納税』制度。
以前からこの制度について記事を書きたいと思っていました。
あるきっかけが見つめ直す良い機会となりました。私なり調べたことを記事にしたいと思います。今回はその序章という位置づけでまずは制度の概要をおさらい致します。


『ふるさと納税』の現状

ふるさと納税を管轄する総務省の公式サイトではこの制度に関する様々な情報が掲載されています。

その中に『ふるさと納税の実績額』として寄付をした人が住んでいる都道府県別の寄付をした人の人数・寄付金額・税金の控除額の一覧が掲載されています。

人数・寄附金額・住民税減少額いずれも東京都がトップとなっております。

平成25年の統計では2万8千人を超える方が合計で38億円を超える寄付を行ったことになります。これにより本来であれば東京に納税されるはずだった税金の減少が18億円以上となっています。

寄附金額と税収の減少額が一致しないのは、寄附金のうち2千円は税金の控除対象から除外されること、寄附金控除は一部は国税が負担していること、寄付をする方が自己負担が最小限ですむ寄付金額ではないことなどがその理由だと考えられます。

参考までに同年の最も少なかった都道府県は宮崎県で298人、寄付金額は2,200万円、税金の減少分は1,200万円ということです。

更にふるさと納税の利用者の推移を見てみましょう。

平成20年に全国の状況を見ますと、

(利用者)3万3千人
(寄附金額)72億円
(居住地の住民税の減少額)18億円


だったものが

5年後の平成25年には

(利用者)13万3千人
(寄附金額)141億円
(居住地の住民税の減少額)60億円


になりました。

利用者は4倍、寄付金額も倍増しました。

これに伴い居住地の住民税の減少額も3倍になっています。

詳しくご覧になりたい方はコチラをどうぞ


『ふるさと納税』制度のお金の流れ

ふるさと納税のお金の流れは結構複雑です。

しかも納税者の条件や寄附金の額、ワンストップ特例制度を利用するかどうか、居住する自治体が地方交付税の交付対象かどうか、などによって変わりますのでなかなか全容を理解するのはハードルが高いところです。

ひとつの例をもとに『ふるさと納税』をすることにより、どの様にお金が流れるのかをご説明したいと思います

モデルケース:ワンストップ特例で満額税額控除を使って寄付した場合

『ワンストップ特例』とは確定申告をしなくても良い、比較的お手軽に『ふるさと納税』が可能な制度です。

サラリーマンの様に確定申告不要な給与所得者等に限定して寄付先が5団体以内なら利用できる制度です。
ブログ記事画像_ふるさと納税_確定申告

ブログ記事画像_ふるさと納税_ワンストップ特例
出典:総務省 ふるさと納税ポータルサイト


制度の趣旨は寄付者(納税者)の利便性の向上ですが、手続き上お金の流れも従来からある確定申告を行うケースと異なります。

通常の確定申告による『ふるさと納税』では寄付者の負担軽減を所得税と居住地の住民税の減少により補うことから税収に関して国も影響を受けます。

これに対して『ワンストップ特例』制度を利用した『ふるさと納税』では国税である所得税を管轄する税務署との連携が無くなった分、所得税の減少は発生せずこの点においては国は影響を受けません。

ワンストップ特例で満額税額控除を使って寄付した場合
神奈川県横浜市に住むサラリーマン岡田さんが岐阜県川辺町にワンストップ特例を利用して寄附金5万円をした場合
ふるさと納税前の税金の状況
課税所得:300万円 所得税率:10.21% 所得税:306,300円
県民税所得割額:120,000円 市民税:180,000円
寄附金の額 : 50,000円
返礼としてチョイスした商品 : 飛騨牛A5等級 サーロインステーキ 3枚(540g)

ブログ記事画像_飛騨牛
控除対象外寄附金の除外
50,000円-2,000円=48,000円
県民税からの税額控除(基本分)
48,000円×県民税率4%=1,920円
市民税の控除税額(基本分)
48,000円×所得税率6%=2,880円
住民税(県民税+市民税)の控除税額(特例分)
48,000円×(100%-10%)=43,200円
但し、上記特例分は所得割額の2割を限度とするため
(120,000円+180,000円)×20%=60,000円と比較すると…
限度額を超えていないため43,200円
県民税の控除税額(特例分)
住民税(県民税+市民税)の控除税額(特例分)×40%=43,200円×40%=17,280円
市民税の控除税額(特例分)
住民税(県民税+市民税)の控除税額(特例分)×60%=43,200円×60%=25,920円
川辺町に5万円を寄付した岡田さんの納税状況は寄付により納税額が以下の様に変わりました
〔所得税〕306,300円(変化なし)
〔県民税所得割〕(税額控除額)19,200円/120,000円⇒100,800円
〔市民税所得割〕(税額控除額)28,800円/180,000円⇒151,200円
5万円の寄付により納税額が減額になった税額の合計額は48,000円

私は高級品の飛騨牛なんて食べたことがないので、いくらぐらいするのか見当もつきませんが、通販サイトで見てみますとステーキ用のA5ランクの飛騨牛は6,000円は下らないようですね。

この岡田さんの寄付によってどの様にお金の変化があったのでしょうか?

ふるさと納税前後のそれぞれの収支の変化
各関係者の収支の変化の様子を一覧表にまとめてみました。

ブログ記事画像_ふるさと納税_お金の動き
クリックすると拡大した表がご覧になれます。

ふるさと納税で寄付をした岡田さんの収支の変化
それではまず寄付をした岡田さんの収支をみてみましょう。

ブログ記事画像_ふるさと納税_お金の動き_岡田さん

表の右端のアルファベットがどの行を表わしているかを示しています。

まず寄付金5万円の支出が50,000円のマイナス収支となっています。〔D〕

川辺町から返礼品として飛騨牛をもらいました。時価を6千円として収入としていますので、6,000円のプラス収支となっています。〔E 〕

ワンストップ特例によるふるさと納税では確定申告をしませんので、所得税に変化はありません。〔A〕

岡田さんの県民税の納税先である居住地の神奈川県の県民税所得割額は19,200円の減税となっておりますので、19,200円のプラス収支となりました。〔B〕

市民税の納税先である居住地の横浜市の市民税所得割額は28,800円の減税となっておりますので、28,800円のプラス収支となりました。〔C〕

〔A〕〔E 〕の収支を合計しますとふるさと納税で川辺町に5万円を寄付をした岡田さんの収支の変化は4,000円のプラスとなりました。〔E 〕

寄付をしてもらった川辺町の収支の変化
それでは岡田さんに5万円の寄付をしてもらった川辺町の収支の変化はどの様になったでしょうか?

ブログ記事画像_ふるさと納税_お金の動き_川辺町

まず寄付金5万円の収入が50,000円のプラス収支となっています。〔Q〕

次に返礼品を仕入れるための費用が発生します。この支出がマイナス収支となります。今回は時価6千円相当の飛騨牛を5千円で販売業者から仕入れたことにしております。〔R 〕

〔Q〕〔R 〕の収支を合計しますとふるさと納税で岡田さんから5万円を寄付をしてもらった川辺町の収支の変化は45,000円のプラスとなりました。〔S〕

実際には寄付を受けると発生するであろう事務コストも支出となりますが、今回は割愛しています。

返礼品の仕入れ業者に選定された肉販売業者の収支の変化
返礼品の仕入れ業者に選定されれば、それだけ売上が上がることになります。売上が上がるということは、それだけふるさと納税による寄付があれば収支に変化がおこるということになります。

ブログ記事画像_ふるさと納税_お金の動き_肉販売業者

川辺町から発注を受けて返礼品を寄付者に送付すれば売上が計上され収支が上がります。今回は5千円の飛騨牛が売れましたから5,000円のプラス収支となります。〔T〕

通常の取引と同様に肉販売業者には仕入れがあります。この仕入分の仕入代金を3,500円とするとマイナス収支3,500円となります。〔U〕

〔T〕〔U〕の収支を合計しますと川辺町から返礼品飛騨牛の発注を受けた肉販売業者の収支の変化は1,500円のプラスとなりました。〔E〕

通常の企業の利益計算と同様です。実際にはこれ以外にも経費が掛かりますし、ふるさと納税の返礼品指定業者は返礼品の送料を『業者持ち』にしなければならない、とか、通常の販売価格とは別に返礼品特有の販売価格でないと指定業者になれない、などのふるさと納税特有のルールに従う必要があるかもしれませんので、単純に通常の商品が売れたのと同等の収支が確保できるかどうかはケースバイケースのようですね。

また、厳密に言えばもしこの業者が好調なふるさと納税特需で利益を上げればその分国税である法人税を沢山納税することになり国への収支にも影響するとも言えなくもありませんが今回は割愛しております。

寄付をした岡田さんが居住する神奈川県の収支の変化
岡田さんが県民税を納付する神奈川県の収支は岡田さんの寄付によってどのように変化するのでしょうか?

ブログ記事画像_ふるさと納税_お金の動き_神奈川県

ふるさと納税をした場合、本来納付すべき県民税が寄付金控除により減税になります。減額される税金の計算は前述の通りです。

寄付金5万円による減税額19,200円がマイナス収支の変化となります。〔K〕

但し、単純に減税分がマイナス収支となって終わり、というわけではありません。

全国の自治体はほとんどが税収不足の補てんとして国から『地方交付税』の交付を受けています。

居住者のふるさと納税に伴う税収の減少分はこの『地方交付税』の交付によって更に補てんされています。

但し、その補てん額は減税分の75%までとされています。

今回の例では神奈川県は岡田さんの5万円のふるさと納税による川辺町への寄付により県民税所得割額が19,200円ほど税収の減少となりましたので、その75%が地方交付税で補てんされます。

(地方交付税による補てん額)
 19,200円×75%=14,400円

つまりふるさと納税に伴うプラス収支として14,400円がカウントされます。〔L〕

〔K〕〔L〕の収支を合計しますと居住者の岡田さんが5万円を寄付をしたことによる神奈川県の収支の変化は4,800円のマイナスとなりました。〔M〕

余談ですが地方交付税の不交付自治体は平成27年度は全国に60しかありません。

都道府県は東京都のみ、市町村は59となっています。

以下のサイトで全国の不交付自治体の一覧がご覧になれます。
原子力発電所や米軍基地などを受け入れている自治体が別の補助金で収入が多い、ということが良くわかります。

寄付をした岡田さんが居住する横浜市の収支の変化
横浜市も神奈川県と同様です。税目が県民税の代わりに市民税になっただけです。

ブログ記事画像_ふるさと納税_お金の動き_横浜市

寄付金5万円による減税額28,800円がマイナス収支の変化となります。〔N〕

地方交付税の補てん分21,600円がプラス収支の変化となります。〔O〕

〔N〕〔O〕の収支を合計しますと居住者の岡田さんが5万円を寄付をしたことによる神奈川県の収支の変化は7,200円のマイナスとなりました。〔P〕

国の収支の変化
ワンストップ特例でのふるさと納税では確定申告を伴わず納税者である岡田さんの所得税に変化が生じないので国の収支に変化が無いように思えますがそんなこともありません。

ブログ記事画像_ふるさと納税_お金の動き_国

所得税に変化はありませんが、地方交付税の交付額に影響があります。

ふるさと納税に伴う神奈川県に対する追加交付金支出によるマイナス収支14,400円〔H〕

ふるさと納税に伴う横浜市に対する追加交付金支出によるマイナス収支21,600円〔I 〕

〔G〕〔I 〕の収支を合計しますと居住者の岡田さんが5万円を寄付をしたことによる国の収支の変化は36,000円のマイナスとなりました。〔P〕

各者の収支を見てみると‥‥
それぞれの収支を『損得勘定』という観点からだけ見てみると次のようなことが言えます。

〔1番得をするのは〕寄付を受け入れた『川辺町』

〔1番損をするのは〕補てん分を交付する『国』

ふるさと納税のイメージは‥‥

『納税者の納税すべき住民税を納税者の意思でふるさとなどの他の自治体へ納税する制度』

の様に思えますがお金の動きだけ見るとこんな風に言えるのではないでしょうか?

『納税者の意思でふるさとなどの特定の自治体へ資金を流入させことができ、その資金源を国税とわずかな居住地の負担で賄い、その余禄として納税者と返礼品納入業者を潤すことができる制度


パラメータ(変数)の変更によって変動する各関係者の収支

先ほどの例では『納税者がワンストップ特例を利用したふるさと納税により1ヶ所の市町村に寄付をした』ケースで関係者の収支を見てきましたが、この収支はいろいろなパラメータ(変数)を変更にすることにより微妙に変化していきます

ワンストップ特例を適用しない場合:国税も減税される

ワンストップ特例を適用しない場合には所得税の確定申告により所得税の税額控除を適用することにより国税である所得税も減額されます。

まずは税金の計算関係をおさらいしましょう。

ワンストップ特例を適用せず満額税額控除を使って寄付した場合
神奈川県横浜市に住むサラリーマン岡田さんが岐阜県川辺町にワンストップ特例を適用せず寄附金5万円をした場合
ふるさと納税前の税金の状況
課税所得:300万円 所得税率:10.21% 所得税:306,300円
県民税所得割額:120,000円 市民税:180,000円
寄附金の額 : 50,000円
返礼としてチョイスした商品 : 飛騨牛A5等級 サーロインステーキ 3枚(540g)
控除対象外寄附金の除外
50,000円-2,000円=48,000円
所得税からの税額控除
48,000円×所得税率10.21%=4,900円
県民税からの税額控除(基本分)
48,000円×県民税率4%=1,920円
市民税の控除税額(基本分)
48,000円×所得税率6%=2,880円
住民税(県民税+市民税)の控除税額(特例分)
48,000円×(100%-10.21%-10%)=38,300円
但し、上記特例分は所得割額の2割を限度とするため
(120,000円+180,000円)×20%=60,000円と比較すると…
限度額を超えていないため38,300円
県民税の控除税額(特例分)
住民税(県民税+市民税)の控除税額(特例分)×40%=38,300円×40%=15,320円
市民税の控除税額(特例分)
住民税(県民税+市民税)の控除税額(特例分)×60%=38,300円×60%=22,980円
川辺町に5万円を寄付した岡田さんの納税状況は寄付により納税額が以下の様に変わりました
〔所得税〕(税額控除額)4,900円/306,300円⇒301,400円
〔県民税所得割〕(税額控除額)17,240円/120,000円⇒102,760円
〔市民税所得割〕(税額控除額)25,860円/180,000円⇒154,140円
5万円の寄付により納税額が減額になった税額の合計額は48,000円

この計算結果に基づいてワンストップ特例を適用したケースと同様に寄付をした場合とそうでない場合の収支の差を見てみますと次の表の様になります。

ブログ記事画像_ふるさと納税_お金の動き3

ワンストップ特例を利用した時と利用しない時の収支の違い
ワンストップを適用した時としない時の違いは以下の通りとなります。

収支に違いがあるのは国と神奈川県と横浜市です。

国は1,225円収支が悪化する。(ワンストップ特例を利用した方が収入が多くなる一方それ以上に支出が多い)

神奈川県は490円収入が多い。(ワンストップ特例を利用した方が収入が少ない)

横浜市は735円収入が多い。(ワンストップ特例を利用した方が収入が少ない)



それ以外は同じです。

納税者である岡田さんの納税先に変化はあるものの納税総額自体に変化はありません

寄付先を複数にする:返礼品に変化がある

前回の例では岐阜県川辺町1ヶ所だけに5万円の寄付をしましたが、これを5ヶ所にするとどうでしょうか?

都道府県や市町村の税金の計算は各自治体ごとに個別に計算すれば異なりますが、都道府県合計、市町村合計は基本的に変わりません。

また国税である所得税にも変化はありません。

変わるのは『返礼品』です。返礼品は自治体により様々ですがこんなパターンが多いです。

・1万円以上の寄付ならこの商品がもらえます

・2万円以上の寄付ならこの商品がもらえます

・3万円以上の寄付ならこの商品がもらえます

川辺町の飛騨牛ステーキ肉540グラムは3万円以上の寄付金でもらえる返礼品です。

例えば佐賀県伊万里市の1万円コースにはこんなものがあります。

伊万里牛ロースステーキ肉 (150g×2枚) A5級

特上の霜降り肉です。やわらかさはもちろん、芳醇で贅沢な味わいをお楽しみください。

これもなかなか私は値段が判りませんが、通販サイトの商品と比較しても4千円から5千円程度ではないかと推測します。

仮にこの様な『1万円寄付金コース』で4千円程度の価値の商品を全国の自治体からチョイスして5ヶ所に分散して1万円づつ5万円を寄付した場合、岡田さんの収支は返礼品の時価部分だけ変動します。

4,000円×5ヶ所=20,000円

1ヶ所だった時の返礼品の収入分は6,000円でしたが、それが14,000円アップの20,000円になります。

寄付先の自治体は寄付金入金合計は5万円で変わりませんが、返礼品納入業者への支出は大きく変わりますね。

仮に4千円相当のお肉に仕入れ値を3千円としますと…

3,000円×5ヶ所=15,000円となります。

そうすると寄付先自治体の合計収支は45,000円から35,000円に減少します。

寄付する側がお得になればその分だけ寄付された自治体の取り分が減ります。

但しその分寄付された側の地元肉販売業者の売り上げは増加します。

(ちなみに寄付した岡田さんの地元の肉屋さんの売り上げがその分落ちるという考え方もありますが、そこまでは考慮するとキリがありませんのでやめておきます


仕組みとしてのお金の流れの変化を理解した上で制度の趣旨を再確認

ここまで見てきて『ふるさと納税』の制度としての仕組みとお金の流れについて理解が深まったのではないかと思っています。

これを踏まえて『ふるさと納税』制度の趣旨とその運用について次回の記事で検証していきたいと考えています。

ブログ記事トップ画像_ふるさと納税ポスター
制度が見直され認知度が上がって利用者が増加しつつある『ふるさと納税』制度。
制度の趣旨と運用にミスマッチはない?って疑問を持っていましたので、『企業版』導入検討ニュースが伝えらている今、ふるさと納税について考えてみたいと思います。


この記事は2016年2月7日現在の法律等に基づいて書かれていますが、詳細は税務署、市区町村役、所税理士などの専門家へご確認の上、ご判断をお願いします。
  <(_ _)>




2019年1月6日追記
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