【全銀協が方針を発表 「ネットバンキング不正送金」法人への補償に言及】 [会計・経理・税務]
ネットバンキングの不正送金事件での被害が法人に及び、その被害が拡大するなかで銀行業界が動いています。
7月5日の日経新聞に、「全銀協(全国銀行協会)が安全対策促す指針を示した」という記事が掲載されていましたが、その全銀協がいよいよ法人に対する不正送金事例の補償について具体的に言及しました。
全銀協の公式サイトを見ますと前回の記事でご紹介した各銀行のサイトに劣らず、注意喚起を前面にしたつくりになっており、この「不正送金」という犯罪がいよいよ身近であることを感じざるを得ません。
前回の記事では銀行が過剰とも言えるほど注意喚起しているネットバンキングに関する被害について、その傾向とともに不正に対抗する防御策をご紹介しました。
今回は、不正送金事例に対する法人への銀行の補償の姿勢を踏まえて済ませておきたいことをご紹介したいと思います。
更にこの画面をクリックスト過去3年間のネットバンキングの被害額の推移が示されます。
平成23年が約3億800万円、平成24年が約4800万円に対して平成25年は過去最悪の約14億600万円と急増していることがわかります。
そしてその対策を取るように注意を促しています。
『まずは犯罪の主な手口を知ろう』として、犯罪の手口の一例として、『ウィルス感染を使った手口』と『フィッシングサイトを使った手口』を紹介しています。
そして『セキュリティ対策を始めよう』として『あなたの預金を守る3つの対策』を紹介しています。
「自分だけは大丈夫」。その思い込みがあなたの大切な預金を危険な状態に!
こんな注意喚起をしています。
そしていよいよ7月17日に全銀協として法人に対する補償の見解が発表されました。
要約すると以下の様になります。
(1)法人にも被害が拡大していることから個人の顧客のみならず法人の被害補償の取り扱いについて検討した
(2)その結果、銀行や法人が適切なセキュリティ対策を施しても起こり得る犯罪であるとした
(3)経営戦略上インターネットバンキングを信頼性のあるサービスとして利用を続けてもらうために、 銀行に法的責任がなくても法人にも損害の補償を行うことを業界の指針とした
(4)補償そのものは個人に対しては全額補償が原則という指針とは異なり、各行の判断を尊重する
(5)被害を受けた法人のセキュリティ対策の状況次第では補償の減額もあることを示唆
詳細はサイトでご確認下さい。
⇒ (全銀協)法人向けインターネット・バンキングにおける預金等の不正な払戻しに関する補償の考え方
7月17日に全銀協からの指針が発表された同日に三菱東京UFJ銀行ではこの指針に従って、法人に対して補償する旨が公式サイト上に掲載されました。
全銀協の現会長は三菱東京UFJ銀行頭取です。
さすがに早い対応だな、と思っていたら…。
後日、同サイトをチェックしてみるとその掲載部分が跡形もなく削除されています。
8月2日現在も銀行から明確な法人に対する補償への言及はないようです。
新着情報の7月17日の記事が掲載されていたはずですが、7月15日の次は7月22日の
【インターネットバンキング】お客さまの情報を不正に入手するコンピューターウィルスにご注意ください。
という記事になっています。
もしかしたら実務上の対応を検討するのは時期尚早とでも思ったのでしょうか?
こちらも公式サイトを見る限りでは今回の全銀協の指針発表を受けて銀行の新たな指針を示す記述は見当たりません。
個人の顧客に対する補償の記述はあっても法人に対しての記述は探せませんでした。
発表直後に当サイトをチェックしていなかったので、三菱東京UFJ銀行の様に、一旦発表された内容を削除した、というような事実があったのかは不明です。
こちらも三井住友銀行とまったく同様です。
では、その他の都市銀行はどうでしょうか?
『りそなビジネスダイレクトあんしん補償のご利用条件等の変更について』と題して、6月11日付(7月7日実施)で明確に規定されているようです。
セキュリティ対策としとして以下に該当すれば5,000万円を上限として補償されます。
・『ワンタイムパスワードの契約』
・『都度振込の当日扱いの契約が無い』
上記のセキュリティ対策が無い場合には、1,000万円を上限として補償されるようです。
金額的には法人にとっては非常に少額である気がしますが、
他の都市銀行と比べるとはっきりしていてわかり易いです。
りそな銀行の様に法人への補償に明確に言及している銀行は稀で、どちらかというと発生ベースで個別対応をしていくということだと思います。
ただ、その個別対応の基準は当然全銀協の指針に基づくものであることから考えると、
ポイントは…
『銀行が当然と思っているセキュリティ対策は施していることが前提』ということだと思います。
会社のお金を預かる財務担当者、経理マンがすべきことは大きく分けて2つだと思います。
1つ目は被害に遭わないように対策をきちんとすること。
2つ目は最悪のケースとして被害に遭った場合に少しでも銀行に補償してもらえる可能性を残しておく。
ということだと思います。
1つ目に関しては過去記事 【ネットバンキング不正送金対策 法人の経理・財務担当者がしておきたい3つのこと】 をご参照頂いて対策をたてて下さい。
2つ目に関しては、銀行別にどの様な対策を講じるように顧客に注意喚起しているのかを現在とりまとめ中です。
準備が整い次第当ブログでご紹介したいと思います。
銀行は預金者に対して日々セキュリティ対策への注意喚起を強化しています。
三菱東京UFJ銀行では個人顧客向けに8月10日よりスマートフォン専用のワンタイムパスワードアプリの提供を開始します。
次々に導入を呼びかける銀行からのセキュリティ対策。
場合によっては『知らなかったから』という理由が通らなくなるかもしれませんね。
7月5日の日経新聞に、「全銀協(全国銀行協会)が安全対策促す指針を示した」という記事が掲載されていましたが、その全銀協がいよいよ法人に対する不正送金事例の補償について具体的に言及しました。
全銀協の公式サイトを見ますと前回の記事でご紹介した各銀行のサイトに劣らず、注意喚起を前面にしたつくりになっており、この「不正送金」という犯罪がいよいよ身近であることを感じざるを得ません。
全銀協公式サイト トップページより http://www.zenginkyo.or.jp/
前回の記事では銀行が過剰とも言えるほど注意喚起しているネットバンキングに関する被害について、その傾向とともに不正に対抗する防御策をご紹介しました。
今回は、不正送金事例に対する法人への銀行の補償の姿勢を踏まえて済ませておきたいことをご紹介したいと思います。
ご注意とお願い
本記事は、2014年7月現在の状況に基づいて記載しております。
ネットバンキングを取り巻く状況、セキュリティ対策の進歩、銀行の対応の変化などにより、記事に記載されている状況と異なるケースも想定されます。
本記事を参考に各自の皆様におかれましては最新の情報を入手して対処下さいますことをお願い申し上げます。
ネットバンキングを取り巻く状況、セキュリティ対策の進歩、銀行の対応の変化などにより、記事に記載されている状況と異なるケースも想定されます。
本記事を参考に各自の皆様におかれましては最新の情報を入手して対処下さいますことをお願い申し上げます。
全銀協のネットバンキング犯罪に対する注意喚起
全銀協のサイトのトップページから『ネットバンキング犯罪対策』というバナーをクリックすると以下の画面が現れます。
全銀協公式サイトより http://www.zenginkyo.or.jp/
更にこの画面をクリックスト過去3年間のネットバンキングの被害額の推移が示されます。
平成23年が約3億800万円、平成24年が約4800万円に対して平成25年は過去最悪の約14億600万円と急増していることがわかります。
そしてその対策を取るように注意を促しています。
『まずは犯罪の主な手口を知ろう』として、犯罪の手口の一例として、『ウィルス感染を使った手口』と『フィッシングサイトを使った手口』を紹介しています。
そして『セキュリティ対策を始めよう』として『あなたの預金を守る3つの対策』を紹介しています。
3つの対策その1「セキュリティ対策」ソフトを使おう!
更新も忘れずに!OSやウェブブラウザなどもつねに最新の状態に!「自分だけは大丈夫」。その思い込みがあなたの大切な預金を危険な状態に!
3つの対策その2「ワンタイムパスワードを使おう!」
ウィルスやフィッシング対策にはワンタイムパスワードが効果的!3つの対策その3「パスワードは慎重に入力しよう!」
銀行ホームページで、ニセのメールやニセの画面の具体例をチェック!こんな注意喚起をしています。
全銀協のネットバンキング犯罪に対する補償の指針
そしていよいよ7月17日に全銀協として法人に対する補償の見解が発表されました。
要約すると以下の様になります。
(1)法人にも被害が拡大していることから個人の顧客のみならず法人の被害補償の取り扱いについて検討した
(2)その結果、銀行や法人が適切なセキュリティ対策を施しても起こり得る犯罪であるとした
(3)経営戦略上インターネットバンキングを信頼性のあるサービスとして利用を続けてもらうために、 銀行に法的責任がなくても法人にも損害の補償を行うことを業界の指針とした
(4)補償そのものは個人に対しては全額補償が原則という指針とは異なり、各行の判断を尊重する
(5)被害を受けた法人のセキュリティ対策の状況次第では補償の減額もあることを示唆
詳細はサイトでご確認下さい。
⇒ (全銀協)法人向けインターネット・バンキングにおける預金等の不正な払戻しに関する補償の考え方
全銀協の指針を受けて銀行はどう動いたのか?
全ての銀行の対応をご紹介するわけにもいきませんが、とりあえずメガバンクはどの様な対応になったのかを確認してみましょう。三菱東京UFJ銀行の場合
7月17日に全銀協からの指針が発表された同日に三菱東京UFJ銀行ではこの指針に従って、法人に対して補償する旨が公式サイト上に掲載されました。
全銀協の現会長は三菱東京UFJ銀行頭取です。
さすがに早い対応だな、と思っていたら…。
後日、同サイトをチェックしてみるとその掲載部分が跡形もなく削除されています。
8月2日現在も銀行から明確な法人に対する補償への言及はないようです。
新着情報の7月17日の記事が掲載されていたはずですが、7月15日の次は7月22日の
【インターネットバンキング】お客さまの情報を不正に入手するコンピューターウィルスにご注意ください。
という記事になっています。
もしかしたら実務上の対応を検討するのは時期尚早とでも思ったのでしょうか?
三井住友銀行の場合
こちらも公式サイトを見る限りでは今回の全銀協の指針発表を受けて銀行の新たな指針を示す記述は見当たりません。
個人の顧客に対する補償の記述はあっても法人に対しての記述は探せませんでした。
発表直後に当サイトをチェックしていなかったので、三菱東京UFJ銀行の様に、一旦発表された内容を削除した、というような事実があったのかは不明です。
みずほ銀行の場合
こちらも三井住友銀行とまったく同様です。
では、その他の都市銀行はどうでしょうか?
りそな銀行の場合
『りそなビジネスダイレクトあんしん補償のご利用条件等の変更について』と題して、6月11日付(7月7日実施)で明確に規定されているようです。
セキュリティ対策としとして以下に該当すれば5,000万円を上限として補償されます。
・『ワンタイムパスワードの契約』
・『都度振込の当日扱いの契約が無い』
上記のセキュリティ対策が無い場合には、1,000万円を上限として補償されるようです。
金額的には法人にとっては非常に少額である気がしますが、
他の都市銀行と比べるとはっきりしていてわかり易いです。
これらを踏まえて財務担当者、経理マンはどうすればいい?
りそな銀行の様に法人への補償に明確に言及している銀行は稀で、どちらかというと発生ベースで個別対応をしていくということだと思います。
ただ、その個別対応の基準は当然全銀協の指針に基づくものであることから考えると、
ポイントは…
『銀行が当然と思っているセキュリティ対策は施していることが前提』ということだと思います。
会社のお金を預かる財務担当者、経理マンがすべきことは大きく分けて2つだと思います。
1つ目は被害に遭わないように対策をきちんとすること。
2つ目は最悪のケースとして被害に遭った場合に少しでも銀行に補償してもらえる可能性を残しておく。
ということだと思います。
1つ目に関しては過去記事 【ネットバンキング不正送金対策 法人の経理・財務担当者がしておきたい3つのこと】 をご参照頂いて対策をたてて下さい。
2つ目に関しては、銀行別にどの様な対策を講じるように顧客に注意喚起しているのかを現在とりまとめ中です。
準備が整い次第当ブログでご紹介したいと思います。
銀行は預金者に対して日々セキュリティ対策への注意喚起を強化しています。
三菱東京UFJ銀行では個人顧客向けに8月10日よりスマートフォン専用のワンタイムパスワードアプリの提供を開始します。
次々に導入を呼びかける銀行からのセキュリティ対策。
場合によっては『知らなかったから』という理由が通らなくなるかもしれませんね。
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