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【サラリーマンの不動産所得と税金計算(中古区分マンション・初年度編)】 [不動産投資]


〔07〕
サラリーマンの不動産所得と税金計算(中古区分マンション・初年度編)

サラリーマンが不動産投資をした場合の不動産所得とその税金について中古区分マンションを購入したケースで考えてみましょう。

電卓と書類とペン

不動産投資の例(区分所有マンションの購入)

物件購入価額
1,000万円(内消費税 384,615円)

諸費用
670,384円(消費税込み)

 <諸費用内訳>
消費税抜き消費税消費税込み
仲介手数料348,461円17,423円365,884円
契約書印紙代5,000円
借入金契約書印紙代10,000円
借入金手数料100,000円5,000円105,000円
登録免許税90,000円
司法書士報酬90,000円4,500円94,500円

建物
築20年3ヶ月(RC造 中古区分マンション)

固定資産税評価額
〔建物〕640万円
〔土地〕160万円

自己資金:670,384円
借入金:1,000万円
金利:3%(変動金利)
返済期間:20年
返済方法:元利均等
返済金額:55,460円/月

修繕積立金:10,000円/月
管理費:5,000円/月

現入居者:残契約期間1年6ケ月 家賃8万円/月
賃貸管理手数料:家賃の5%+消費税

不動産取得税:10万円
固定資産税:50,000円/年
所得税率:20%(住民税率:10%)


こんな例で年間の所得を計算してみましょう。

個人の所得税は1年間は暦に合わせています。

会計期間は毎年1月1日~12月31日の1年間となります。

マンション購入初年度の所得を計算しますが、計算を簡単にするために1月1日にこのマンションを購入したとして、1年間の所得を計算してみます。

(実際には元旦に不動産取引と言うのはありえないと思いますが…)


『収入』を計算する

収入は基本的に家賃収入のみです。

入居時に礼金などの収入もあるかもしれませんが、今回は既に入居済の物件を購入したという設定で家賃収入のみが収入となります。

〔収入〕=80,000円×12か月=960,000円


『必要経費』を計算する

経費には毎月発生する『定常経費』、年単位で毎年発生する『年間経費』、そして臨時的に発生する『臨時経費』があります。

『定常経費』を計算する

  1. マンション管理組合への支払い「修繕積立金」と「建物管理費」
    マンション管理組合への支出は「修繕積立金」と「建物管理費」です。
    これらは家賃収入の有無にかかわらず「所有」していれば必ず支払います。
    修繕積立金はその名称が「積立金」で管理組合にとっては修繕が発生するまでプールしておく「積立金」ですが、大家さんにとっては「一旦支払っておくもの」ではなく戻ってこない支出ですから支出時に「必要経費」として処理します。

    「修繕積立金」+「建物管理費」=10,000円+5,000円=15,000円/月
    15,000円×12か月=180,000円/年間

  2. 賃貸管理手数料
    賃貸管理会社へ委託する賃貸管理は大家さんの任意で契約するものです。
    すべて自分で管理するから委託する必要がないと思えば発生しないのが賃貸管理手数料です。
    またマンション管理組合に対して支払う『管理費』と違って家賃が発生(賃貸の管理が発生)しなければ支払う必要がありません。

    「家賃の5%」=80,000円×5%=4,000円
    「消費税」=4,000円×5%=200円
    「賃貸手数料(税込)」 4,200円/月
    4,200円×12か月=50,400円/年間

  3. 支払利息
    『元利均等返済』における毎月の借入金の返済額は毎月一定の55,460円です。
    しかし、この金額の構成は毎月変動しています。
    利息の計算は返済されていない元金の残高に利率を乗じて計算されますから毎月の利息支払額は減少していきます。
    従って返済明細などを見ながら返済額に占める『支払利息』を確認する必要があります。
    ちなみに今回の例では初年度の12回分の返済は、294,932円になります。

    「借入金返済のなかの支払利息」
    294,932円/年間

  4. 減価償却費
    減価償却とは建物の様に支出した時に一時に必要経費にできないもの、『固定資産』を少しづつ経費化する会計上の手続きをいいます。
    283,660円 今回の例での減価償却計算はこちらを参照して下さい。
    【中古区分投資マンションの減価償却計算】

    今回の物件の初年度の減価償却費は287,831円となります。

    「減価償却費」 287,831円/年間

『年間経費』を計算する

  1. 固定資産税
    固定資産税は不動産を持っていれば必ず国に徴収されます。
    そのため大家さんも国から不動産の賃貸料を払って借りた不動産を賃借人に『転貸』しているとも言えるかもしれません。
    しかも不動産を所有していれば入居があろうがなかろうが支払わなくてはならないので管理組合に支払う費用とともに完全な『固定費』です。
    実際には固定資産税と都市計画税のふたつからなりますので、『固都税』などと言われます。

    「固定資産税」 50,000円/年間

『臨時経費』を計算する

  1. 購入時諸費用
    購入時諸費用も不動産取得税同様に不動産を取得した時だけに発生する臨時経費です。
    購入時諸費用はその性質によって経費とできるものと固定資産の『取得価額』としなければならないものがあります。
    詳しくは減価償却の項目を参照して下さい。
    【中古区分投資マンションの減価償却計算】

    「登録免許税」+「司法書士報酬」
    90,000円+94,500円 =184,500円

  2. 不動産取得税
    不動産取得税は不動産を取得したときにかかる税金です。
    所有権移転登記をしてから概ね4~5か月後に納付時期を迎えます。
    そのため不動産を購入した時期によって購入年度の経費になる場合と翌年度になる場合があります。
    今回は1月1日に購入としましたので初年度の経費として発生します。

    「不動産取得税」 100,000円

『必要経費』を合計する

  • 〔修繕積立金+建物管理費〕 180,000円
  • 〔賃貸管理手数料〕 50,400円
  • 〔支払利息〕 294,932円
  • 〔減価償却費〕 287,831円
  • 〔固定資産税〕 50,000円
  • 〔購入時諸費用〕 184,500円
  • 〔不動産取得税〕 100,00円
  •    合計 1,147,663円


『不動産所得』を計算する

不動産所得は収入から必要経費を差し引くことで計算します。

〔収入〕-〔必要経費〕=960,000円-1,147,663円=▲187,663円

⇒(参考)青色申告決算書(不動産所得用)の書き方

所得がマイナスになりました。そうするとどうなるのでしょうか?


『不動産所得の税額』を計算する

不動産所得は給与所得と『損益通算』が可能です。

従いまして給与で支払っている所得税や住民税から控除可能です。

所得税の確定申告における所得税の年税額は給与所得と不動産所得を一旦合計した所得の合計に税率を掛け算して計算します。

この年間の税額と年末調整で最終的に支払った年間の給与所得に対する所得税と比較します。

給与からの天引きにより支払った税額の方が少なければ追加で納税しますし多かったら還付が受けられます。

今回のケースでは所得税率20%のサラリーマンを想定しています。

不動産所得に税率20%を掛け算して不動産所得に対する所得税を計算します。

▲187,663円×20%=▲37,532円

実際には税金計算では端数処理がされますが給与所得の金額によってどう端数処理するかわかりませんのでそのままの金額で認識しておきます。

住民税は税率が一律10%です。

▲187,663円×10%=▲18,766円

所得税・住民税合計では56,298円の還付となりますが、住民税は前年度の確定申告に基づいて決定されるので実際には住民税は還付ではなく翌年の住民税が減額となります。


不動産所得の住民税に関する注意点

ちなみにサラリーマンが還付を受けるケースではこの住民税に関して注意が必要です。

会社が住民税を給与から天引きする際には市役所から勤務先の会社に通知が来ます。

不動産所得など給与所得以外の所得により住民税が変動する場合その金額も一緒に通知されます。

増額つまり不動産所得がプラスになるために住民税が増加する場合には所得税の確定申告書に『特別徴収に含めない』旨の記載して自分で別途納税することにより会社への通知は対象外になりますが減額になる場合には必ず会社に通知されます。(別途還付という方式がないためです)

不動産投資を会社に内緒にしたい人は所得がマイナスになる場合には注意が必要です。



さて1年目は不動産所得税や購入時諸費用などの臨時費用が発生したために所得はマイナスでした。

そのために税金も還付と言う結果になりました。

さて2年目以降はどのようになるでしょう…

次回、次年度以降の所得計算について見ていきます。

この記事は2013年5月16日現在の法律等に基づいて書かれていますが、各自の計算についてなんら保証するものではありません。
実際に計算する場合には税務署、税理士などの専門家へご確認の上計算をお願いします。
  <(_ _)>

次の記事はコチラ

〔08〕
サラリーマンの不動産所得と税金計算 中古区分マンション・次年度以降編

今回は次年度以降について考えてみます。

ワンルームマンション投資のキャッシュフロー

不動産投資で重要な『指標』であるキャッシュフロー。
不動産投資は事業性が強い投資です。
このことに着目して区分所有マンションのキャッシュフローを題材にして『どの様に』実績や予測をしていくのかを解説します。
電卓と書類とペン

マンション投資の儲けとは一体どのように計算されるのでしょう…
投資指南本では、ほとんどが「キャッシュフロー」が呪文のように繰り返されます。
支払い側、キャッシュアウトフローの忘れてならない重要な点として「購入時のキャッシュアウトフロー」が挙げられます。
不動産投資もインカムゲインを重視した投資と考えると株式投資よりもはるかに事業性、事業運営の要素が強いということだと思います。その場合、重要なポイントが「キャッシュフロー」ということになるかと思います。
中古区分マンションの購入を例にとり、購入後のキャッシュフローについて検証してみました。
今回はその『不動産投資の成否』という観点からキャッシュフローを考えてみたいと思います。
不動産投資の場合、月々とか年間とかのお金の流れを捉えます。例を挙げて考えてみましょう。
不動産投資で比較的「管理すべき数字」が単純な『区分所有マンション』の一室を購入した場合を例にとってみます。
今回は、翌年のキャッシュフローがどうなるか…、更に具体例で説明したいと思います。
サラリーマンが不動産投資をした場合の不動産所得とその税金について中古区分マンションを購入したケースで考えてみましょう。
前回はサラリーマンが不動産投資をした場合の初年度の不動産所得とその税金について、中古区分マンションを購入したケースで考えてみました。
今回は次年度以降について考えてみます。
中古区分マンションを購入した場合の取得価額を求めるのに購入代価を土地と建物に分ける必要があります。契約でそれぞれの代金が分けられている場合には問題ありませんが、代金が土地建物合算された場合には『按分する』必要があります。どうやってするのでしょうか?
「サラリーマンが不動産投資をした」という前提で個人の不動産所得計算に必要な減価償却費を計上するにあたってどうやって計算すればいいのかをお伝えします。





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◆ 首都圏に中古のワンルームマンションを購入して不動産投資の門を叩いた私。
やってみていろいろわかったことや活動の記録をお伝えします。

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ありがとうございました<(_ _)>

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