【中古区分投資マンションの購入代価を土地と建物に按分する】 [不動産投資]
中古区分マンションを購入した場合の取得価額を求めるのに購入代価を土地と建物に分ける必要があります。
契約でそれぞれの代金が分けられている場合には問題ありませんが、代金が土地建物合算されている場合には『按分する』必要があります。
どうやってするのでしょうか?
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不動産投資の例(区分所有マンションの購入)
物件購入価額
・ 1,000万円(内消費税、384,615円)
建物
・築20年3ヶ月(RC造 中古区分マンション)
固定資産税評価額
・〔建物〕640万円 〔土地〕160万円
消費税額から逆算する
契約書に消費税の額が記載されている場合の最も簡単な按分方法は、契約書の『消費税の額』から逆算によるものです。土地には消費税はかかりませんので、記載されている消費税は全て建物分となります。
従って消費税を消費税率「0.05」で割り戻せば消費税抜きの建物価格が計算できます。
※以下消費税率が8%の場合は「0.05」を「0.08」に読み替えて適用下さい。
384,615円/0.05=7,692,300円
(建物の消費税抜き価格)
購入価額総額から建物の消費税抜き価格と消費税を引けば、土地の価格となります。
10,000,000円-(7,692,300円+384,615円)=1,923,085円
ただ、売主が消費税課税事業者ではなく契約書に消費税額が明示されていないケースや契約段階で作成された契約書の金額に誤りがないかどうかをチェックする必要がある場合にはこの方法は使用できません。
契約書を作成する不動産屋さんはどうやって金額を算定しているのでしょうか?
土地・建物を「何かの比」を利用して按分する
土地と建物を按分するのに税務上はその方法に幅をもって例示しています。
Q
建物と土地を一括譲渡した場合で、建物代金が区分されていないときは、建物代金はどのように計算したらよいでしょうか?
A
土地とその土地の上に存する建物を一括して譲渡した場合には、土地の譲渡は非課税ですので、建物部分についてのみ課税されます。
この場合、譲渡代金を
1. 譲渡時における土地及び建物のそれぞれの時価の比率による按分
2. 相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分
3. 土地、建物の原価(取得費、造成費、一般管理費・販売費、支払利子等を含みます。)を基にした按分などの方法により土地と建物部分に合理的に区分する必要があります。
なお、それぞれの対価につき、所得税又は法人税の土地の譲渡等に係る課税の特例の計算における取扱いにより区分しているときはその区分した金額によることになります。
(消法令453 消基通10-1-5)
出典:国税庁「建物と土地を一括譲渡した場合の建物代金」
つまり合理的な方法で良いということになります。
今回は最もポピュラーな固定資産税評価額をもって按分することにします。
その他にも『時価』を用いるケースなどがありますが、恣意性が介入しない客観的な数値として固定資産税評価額は一般的に利用されています。
つまり土地・建物の按分比率を
建物:土地=640万円:160万円=4:1
とするわけです。
建物は全体の取得価額の4/5の取得価額となります。
但し、土地には消費税がかからず按分計算は消費税抜きの金額に対して行うため、少しややこしい計算が必要となります。
固定資産税評価額による土地・建物 按分計算
〔前提条件〕
A:売買価格
=10,000,000円
X:建物価格(消費税抜き)
Y:土地価格
α:建物固定資産税評価額
=5,600,000円
β:土地固定資産税評価額
=1,400,000円
としますと…
〔解法〕
A=1.05X+Y
で表せます。
1.05を掛け算しているのは税抜価格を税込価格にしています。
そして建物・土地それぞれの固定資産税評価額で案分するわけですから、
X:Y=α:β
が成り立ちます。
Xはあくまでも税抜きです。(ここが注意点)
上記の比の式は展開できるのを覚えていますか?数学で習いましね(笑)
左辺、右辺の外側同士で掛け算したものと内側同士で掛け算したものはイコールになります。
Xβ=Yα
これを更にYを求める式に変換すると…
Y=(β/α)X
となります。
これを一番上の式に当てはめると…
いわゆる「代入(だいにゅう)」ってやつですね。
A=1.05X+Y
=1.05X+(β/α)X
Xの同類項をまとめると…
=(1.05+(β/α))X
=(1.05+(1,400,000/5,600,000))X
=(1.05+0.25)X
A=1.3X
Xを求めるために移項して…
X=A/1.3
=10,000,000/1.3≒7,692,308
建物の税抜き価格Xが求まりました。
建物の税込み価格は…
1.05X=7,692,308×1.05=8,076,923
土地の価格は…
Y=(β/α)X
に代入すれば
=(1,400,000/5,600,000)×7,692,308
=1,923,077
念のため、検算で税込建物価格1.05Xと土地価格Yの合計を確認すると…
1.05X+Y=8,076,923+1,923,077=10,000,000
端数処理も合ってました。
さきほど、消費税額から割り戻したのと1円単位で少し異なりますね。
端数処理の計算過程で出たものですが、どちらを採用しても問題はないと思います。
この記事は2013年5月16日現在の法律等に基づいて書かれていますが、各自の計算についてなんら保証するものではありません。
実際に計算する場合には税務署、税理士などの専門家へご確認の上計算をお願いします。
<(_ _)>
実際に計算する場合には税務署、税理士などの専門家へご確認の上計算をお願いします。
<(_ _)>
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〔10〕
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今日もためになりました~!(^O^)いv
by macinu (2013-05-13 00:46)
macinuさん、コメントありがとうございます(*^_^*)
by はる (2013-05-13 01:33)