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【統計データを使った騙し方 こんな本で学んでは?】 [統計の部屋]

以前から『統計』について勉強したいと思っていましたが、ようやく重い腰を上げて本を読むことにしました。

積み上げた本

私は何か調べ物があると図書館に行って関連書籍を見繕って何冊かまとめて読むことを時々します。

最新の情報を見ないと意味ないものは図書館ではちょっと古いので書店やアマゾンなどで購入しますが、基礎的なことを勉強したり調べたり概要を知りたいというときには図書館は強い味方です。

今回も3冊ほど借りてきました。

『統計学』の本は図書館にも沢山ありますが、統計学って大抵難しい計算式とそれに対応したグラフで構成されていて私が読んでもきっと睡眠導入剤になってしまいます。

『読んでも飽きない』体裁で、どちらかというと実例が挙げられたトピックが載っているようなものを探して3冊をチョイスしました。

その中の1冊がなかなか面白かったので、ご紹介します。と言ってもまだ読んでる最中ですが…。

『グラフで9割騙される ~情報リテラシーを鍛える84のプレゼン~』

ニコラス・ストレンジ 著
酒井泰介 訳
ランダムハウス講談社



初版は2008年8月の本です。

「まえがき」にはこんな風に書かれています。

 本書は、数字を図評化する方法についてのもの。その目的は、人々を説得し、感心させ、あるいは混乱させることだ。もとのデータがいかによかろうが、平凡だろうが、存在しなかろうが関係ない。あからさまな嘘をつかずに、できるだけねらいどおりに相手を誤解させる図表づくりのテクニックを明かす。
  中 略
 本書の目的は、この複雑な点を整理し、人をだます図表づくりの技を伝授することだ。どうせやるなら、データをはぐらかしたりねじ曲げたりする方法を巧妙にブレンドし、うまく人を操りたい。
 本書ではさらに、お手本になるようなだまし図表の実例を紹介する際に、実名を挙げてその功績を讃える。しかし、出版物であれホームページであれ、人目に触れるまでにはあれこれと経緯があるものだ。だから、それが天才犯罪者の知恵の産物なのか、誠実なバカの仕事の結果なのか、知る術はない。したがって、本書で取り上げる実例はすべて、べつにそのどちらかであると示唆しているわけではない。
 …そもそも、それがわからないからこそ、本当によくできただましの図表を使えるのだから。


この本はこの「まえがき」にある通り、読者に『だまし図表(グラフ)』のテクニックを実例を交えて教える体裁をとっています。

もちろん著者の本当の目的はだましのテクニックを教えることではなく、騙されないような知識を習得してもらうということだと思うのですが、このような『だまし』をする組織や人に対して最大の皮肉を込めてこんな形式をとっているところがなんともユーモアがあると思います。

まず典型的なグラフごとのだましのテクニックを披露します。

単純なところでは棒グラフや折れ線グラフの縦軸の目盛りのゼロを省略したパターンなどから始まります。

円グラフよりもドーナツグラフの方が視覚的にあいまいになって騙しやすいというように『何故そのグラフを採用しているのか?』を見せたい側から検証するので面白いです。

しかも実際に公的機関などで発表されたグラフなどを紹介しているので「こんなことにだまされちゃいけませんよ!」って言うのが直感的に感じられて勉強し甲斐があります。

まだ途中までしか読んでいませんが新聞や各種統計などを使ってこの本に書かれているだましのテクニックが我が国のデータにどんな風に浸透しているかを自分なりに検証しようかと思っています。


私の様な素人でもわかり易いのは『ゼロの省略』だと思います。

先述の縦軸の目盛りがゼロを省略して途中から始まっているグラフって結構多いと思います。

変化を際立たせたいときに用いる手法ですが、データを披露する側の意図次第で『大した違いや変化ではないのに、さも急激な変化があるような演出をしたい』ときには『効果的なテクニック』だと思います。

私自身、過去にだますつもりではありませんが、この様なグラフを無意識に作っていたことがあります。

つい先日も新聞でサラリーマンの平均所得の推移が掲載されていましたが、まさにゼロが省略されていました。 

ここ数年、平均所得が減少していることをビジュアル的に表すためのグラフでした。

論旨からいって『だまし』ではないと思うので「騙された!」って思ったわけではありませんが、読む側は意識したいところではあるので本当にその推移が大事だと思ったら、ゼロからのグラフをエクセルなどを使って自分で作ってみて、『推移感』みたいなものを実感してみるなんてことも意味あることだなって思いました。

また、『平均値の落とし穴』も興味ある論点です。

『国民の平均所得』がこの例で良く取り上げられるので意識されている方も多いかもしれません。

『平均』って言っているのに「そんなに高いのかぁ…」って思う数値は最頻値ではなく、中央値でもなく、平均値を採用しているからであることが多いということです。

何十億円と所得がある人が少数でも国民全体の所得合計を押し上げていたら平均値が高めに移動してしまうようなケースで、このような実感を伴わない平均値になるということです。

お手軽に統計データを紹介するときには『平均値』が採用されることが多いですが、『平均値』にはこの様な『欠点』があることも理解した上でデータを見ていきたいところです。

この本の中ではEU15か国の「ユーロ採用国」と「非採用国」のGDP成長率を平均で比べた場合の「バカらしさ」について紹介しています。

なかなか興味深いです。

そして見る側は平均値がその代表値と勘違いしてしまうのもうなづけてしまい、如何に『自分の意見の正当性の補強』に統計やグラフが有効かを感じずにはいられません。

今回は書評ということで具体的なデータなどは紹介しませんが、もう少し勉強して実際にある統計やグラフを自分なりに検証して面白そうな実例がありましたら、このブログでもビジュアルも取り混ぜてご紹介できたらと思っています。


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