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【家を買ってキャッシュバック・キャンペーン! ~住宅ローン控除に現金給付】 [マイホーム購入術]

パソコンと計算機

政府・自民党は9日、2014年4月の消費増税後に住宅購入者に現金を給付する支援制度を設ける方針を固めました。

従来の『住宅ローン減税』は『減税』ですから「支払っている税金以上の」優遇をすることはできません。

中低所得者層のように納税額が大きくなく減税枠がたくさんあっても使い切るだけの納税をしていないことから、その優遇幅が小さく中低所得者層の住宅購入意欲の刺激が弱かった面があります。

それをなんと!

使い切る、つまり控除できなかった枠がある方でも『目一杯!』、制度の優遇を享受してもらおうと、とうとう減税ではなく国から『キャッシュバック』しちゃいましょう!ということです。

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住宅ローン減税の計算はこうする

それではそもそも『住宅ローン減税』ってどんなもんか?

簡単におさらいしましょう。

こんな例でお話します。


◎拾択源蔵(じゅうたくげんぞう)さん:
建売住宅を購入しました。

新築一戸建てです。

◎購入時期:
2013年4月20日

◎購入価格:
(総額)5,100万円(仲介手数料などの諸費用は無視します)
(内訳)〔土地〕3,000万円 〔建物〕2,100万円(内消費税100万円)

◎購入資金:
頭金は今まで貯めた1,100万円。 残りの4,000万円は住宅ローン。

◎住宅ローン:
35年ローン 金利1.00%
元利均等返済 
月々返済額 113,000円

◎源蔵さんの所得税・住民税情報
年収:600万円(収入は給与のみ) 
家族:かう代(専業主婦) 花子(中学生) 太郎(小学生)
年間所得税:166,500円
年間住民税:277,000円


この場合、2013年の住宅ローン減税の制度を利用するとどうなるでしょうか?

住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)とは、上記の年間所得税及び年間住民税から年末の住宅ローン残高に一定率を掛け算して算出した金額を引くこと(控除)ができる制度です。

2013年に取得した住宅の場合、向こう10年間、年末ローン残高の1%が控除可能です。

ただし無制限ではなく1年あたり控除できる上限は20万円までとなっています。

つまり最大で10年間、200万円の税金を『おまけ』してもらえる、という制度です。

最大の『おまけ』を享受できれば200万円安く住宅を購入したのと同じと言えるかもしれません。

それでは拾択源蔵さんの減税はどのように計算されるでしょうか?

【ステップ1】年末の住宅ローン元金の残高

4月に購入して5月から返済が始まりますと4,000万円の元金は残高が39,361,492円になります。

【ステップ2】控除率を掛け算

39,361,492円×1%=393,614円
⇒ 393,600円(100円未満端数切捨て)

でも残念ながら2013年のローン控除は年間最大で20万円までが限度なので、
200,000円

【ステップ3】年間所得税額から控除する

166,500円-200,000円=▲33,500円 

【ステップ4】所得税控除額(還付額)の確定

ローン控除の額は年間最大で20万円まで控除可能ですが、元々の所得税納税額を超えて控除するとマイナスになってしまいます。

控除しきれなかった33,500円は住民税の控除に回します。

つまり所得税の控除額は年間支払った税額166,500円全額となり還付を受けられます。

結局のところ2013年、拾択源蔵さんは所得税を1円も払わない人となります。

【ステップ5】住民税の控除

所得税で控除しきれなかった33,500円は住民税から控除されます。

拾択源蔵さんの場合、

277,000円-33,500円=243,500円

が住民税となります。

ただし住民税にも控除額の上限はあり、課税所得の5%又は97,500円のどちらか小さい方です。

こうして住宅を購入することによって、拾択源蔵さんは2013年の税金は20万円『おまけ』され、

年間所得税(166,500円)+ 年間住民税(277,000円)=443,500円



年間所得税(0円) + 年間住民税(243,500円) = 合計243,500円

となりました。


改正案はこんな内容

今回の税制改正案では1年間で控除できる限度額を2013年の20万円を50万円にしようかということも検討されているようです。

現在、住宅ローン残高に掛け算する『率』を1%から引き上げするのかどうかは説明されていないようですが、仮に年間最大50万円で10年間控除期間がありますと最大で500万円となります。

1%の『率』で制度が実施された場合、10年間で最大の500万円の税金の『おまけ』を受けるには、最低でも以下の3つの条件を満たさなければなりません。
  1. 5,000万円以上の住宅を購入すること

  2. 10年後までローン残高が5,000万円以上あるローンを組むこと

  3. 毎年所得税を402,500円以上納めていること
条件1はこの控除でのローン残高というのは当初のローンが住宅購入分に充当されていることが必要だからです。

4,000万円の住宅購入のために諸費用も含めて5,000万円のローンを組んでも4000万円以上の残高に対して控除率を掛け算することは認められません。

条件3は住民税での控除の上限が97,500円であるため満額控除を使い切るにはその差額をすべて所得税で控除する必要があるからです。


元々の税額が少ない人にとっての『控除枠の拡大』

しかしながら拾択源蔵さんの例のように所得税の納税額が年間16万円程度の方ですと、

166,500円+97,500円=264,000円

と、最大でも結局は年間最大25万円程度しか控除できないことになります。

つまり拾択源蔵さんは年間控除上限が変更になっても年間5万円程度、10年間でも50万円しか違いがありません。


そこで登場したのが『キャッシュバック方式』

この〔条件3〕による『税金をたくさん払っていないために効果が薄い』層、これを「低中所得者層」と呼んでいますが、この層への購入意欲刺激効果を高めるために税金を払っていなくて控除しきれない分を 『キャッシュバックします!』

というのが、今回の目玉となります。

ただ先述のように〔条件1〕と〔条件2〕も満たさなければ高額のキャッシュバック効果は得られません。

つまりは、『高い住宅』『高額のローン』 を組むことによって得られるわけです。


政府の思惑に踊らされずに冷静に判断したい経済対策税制

でも控除を受けるからと言って無理して高い買い物をするのはどうかと思いますし、住宅を購入する時に返済できなくなるリスク軽減のために『自己資金を厚めにしてローンの額を抑え目にしましょう!』という考え方は否定されます。

政府が後押ししてローンつまりは『負債を負うこと』を奨励する制度ともいえます。

当然、景気刺激策の一環として行うわけですから、この制度を有利だと判断して住宅購入者が増加することに狙いがあるわけですが、消費者側としては自分の置かれている状況を冷静に見つめて冷静な判断に基づいてマイホームの購入計画を立てる必要があるでしょう。

現在の制度と新しい制度案を比較してどちらかが得か検討することは大事だと思います。

ただ、この様な比較とするときには他のパラメータ(変数)が一定として行うのが一般的です。

しかしながら実際はいろいろな状況は、時期によって刻々と変化します。

以下の様な要素は住宅購入には非常に重要なパラメータです。
  • パラメータ1 住宅の価格

  • パラメータ2 消費税率

  • パラメータ3 金利

消費税率は住宅価格の相場形成にも影響しますし、為替の動向次第では急激な円安による材料費の高騰を招き、やはり住宅価格にも影響するかもしれません。

これらの変動要素と比較して今回検討されている住宅ローン控除制度の変更が有利かどうかの判定が重要になってきます。

2013年に住宅を購入しようとしていた方で住宅ローン控除制度の変更次第では来年にしようかと考えている方はとりあえず自分の税額を確認して現行の制度と新しい制度の比較をしてみて消費税導入の影響などを考慮して住宅相場を研究し金利動向を注視することが大事だと思います。

税金の確認は源泉徴収票を見ればわかります。

gensen01.jpg
↑この図をクリックすると拡大します。
赤のマークした欄が年間の所得税額です。


減税の有利不利判定にはいろいろな要素を加味して総合的に判断することが大切

ちなみに2013年は2012年よりも少し所得税は増額します。

復興特別税の導入です。

税率は所得税率に対して2.1%です。

2012年と全く同じ条件(年収や家族構成など)ならば、所得税は2.1%増しです。

100,000円の方なら102,100円です。

その金額を参考に2014年に住宅を購入した場合と2013年に住宅を購入した場合の住宅ローン減税額を比較してみます。

当然『いくらくらいの住宅』を『いくらくらいのローンを組んで』購入するのかの計画がたってないと計算できませんので住宅購入予算を立てておく必要もあります。


ちなみに住宅を購入した時期によりローン残高に掛け算する率や1年間の上限金額、制度適用の年数などが全然違います。

購入時期によって本当に有利不利があります。

参考までに国税庁の公式サイトの一覧表をご紹介します。
juutaku001.jpg
↑この図をクリックすると拡大します。


住宅税制は景気刺激策として成功するのか?

何故こんな風に年によって違うのかと言えば、景気刺激策として『税制』を利用しているからです。

クルマが売れなくなればエコカー減税、住宅が売れなくなれば住宅ローン減税です。

果たしてこの制度、景気刺激策として成功しますでしょうか?

当然、住宅ローン減税枠の拡大は所得税収の減少を招きますし、キャッシュバック方式を取り入れれば、
それに見合う財源を確保しなければなりません。

住宅を購入する人と住宅産業にまつわる人には影響度合いが大きいですが、住宅も購入できないくらい困窮している人にとっては景気が良くなって回りまわって自分の給料に跳ね返ってくるまでは恩恵の無い制度ですので、その分を消費税率のアップ率の引き下げに充てて欲しいという人も中にはいます。

国土交通省は恒久的制度にすることを望み、財務省は短期的な期間限定の制度であれば、と理解を示しているようです。

いずれにしましても来年2014年の住宅ローン減税制度は正式に決定していません。

住宅購入を検討されている方は、消費税増税の動向、住宅相場の動向、金利の動向とともに注視しておいた方が良い項目だと思います。

⇒国税庁 タックスアンサー No.1210 マイホームの取得等と所得税の税額控除

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